« 雑誌記事:旧車デザインコラムの24回目です | トップページ | 雑誌記事:旧車デザインコラムの25回目です »

新車心象風景:トヨタ アルファード・ベルファイア

Photoうーん、言葉もないといった感じだろうか。

標準に対してのカスタムバージョンはいまやすっかり定着して、軽をはじめとするミニバンでは必須の商品展開だ。

僕はこのカスタム版をコラムで扱うとき、これを好んで買うユーザー側の残念な感性についてを書いてきた。日本に浸透するヤンキー文化が、標準車よりカスタムを人気にするような市場を作ると。

売れるから作るのか、作るから売れるのか。すでにどちらとも言える状況だけど、しかし、マイナーチェンジされたアルファードとベルファイアは、明らかにトヨタの暴走なんである。

Lクラスミニバンとして、もともと異様にデカい顔。これをキャンバスと考えれば何だって描ける。じゃあということで、デザイナーが好き放題描いた結果、何と2車ともがカスタムになってしまった。

それにしても、ランプから下る数十センチものモールや、バンパー両端の巨大なインテーク枠など、長大なメッキパーツをスケッチしたそのデザイナーや主査は、いったいどういう心持ちだったんだろう。

日本トップ企業の商品としての品格欠如、多くの台数が街を走ることでの風景破壊、なんて認識はたぶんない。それより「ここまでやっちゃえば皆驚くぞ」「ドカンと売れるぞ」といったところか。

売れることが正義か否かはともかく、組織力、開発力、調査力等々について「やっぱりトヨタはすごい」と常々評される。この巨大企業が持つポテンシャルについて、僕も否定するつもりはない。

けれども、自国市場への商品展開を見たとき、果たして見識や良心、あるいは感性に手放しの評価ができるかといえば、それは決してない。2018年を迎えたいまでさえ「売れればいい」という魂胆が見え隠れする。

少なくとも僕は、このアルファードとベルファイアを見せられれば、トヨタはもうJPN TAXIとセンチュリーだけ作っていればいいんじゃないか、と思うんである。

|

« 雑誌記事:旧車デザインコラムの24回目です | トップページ | 雑誌記事:旧車デザインコラムの25回目です »

新車心象風景」カテゴリの記事

コメント

Uedaさん

山車・・・まさにそうですね。マイルドヤンキーさんの保守傾向は伝統を好むというよりもっと表面的なのかも。だから本物を目指して世界に出るなんてことはしませんね。本物は要らないし、そんな努力もしたくない。内側だけを見てテッペンにいるのが安心です。そういう商品がWow!なんでしょうか?

投稿: すぎもとたかよし | 2018年1月13日 (土) 22時37分

これは、山車なんだと思う。祇園祭りじゃ山鉾という。そういう伝統的な美意識があるから、ヤンキーも燃えるんだろう。むしろ大人しい感じの人が、喜んで乗っているのではないか。でも、どうせ伝統的な美意識というなら、私ならマツダに肩入れしたい。グローバルな世界に出て戦おうとしているから。山車は、所詮は山車。お山の大将みたいで滑稽だ。

投稿: Ueda | 2018年1月13日 (土) 20時51分

Perさん

まさにメガ盛りですね。マイナーチェンジに何人のデザイナーが参加しているのかは分かりませんが、いちばん派手でウケそうなスケッチが選ばれたのかと。やりたくない・・・というより、どうせやるんだったらここまでやっちゃえ的なノリなんじゃないでしょうか? もちろん自分は欲しいとも思わないで。

投稿: すぎもとたかよし | 2018年1月10日 (水) 22時59分

まあ、下手ですよね。 盛って盛っての、メガ盛り状態。
好き放題、やりたい放題の、ラクガキを実車にしちゃいました、みたいな。
以前にも似たようなテーマがありましたが、デザイナーは、本当にこんな仕事を、やりたくてやっているのか?
もう、ヤケクソで、やっつけ仕事にしか見えない。 案外「自分は買わないけど」とか思っているかも。

投稿: Per | 2018年1月10日 (水) 02時10分

アクシオムさん

カムリの時の「デザイン案の中から一番トヨタらしくないのを選べばいいんだよね」という社長さんのジャッジが発表会で美談になるのって、周りのチェックが機能していると言えるのか?? 「Wow」なんて抽象的なことを堂々と言えるのは、少なくともユーザーのチェックはきいていないということですよね。最近のトヨタ顔は「ビューっとしててカッチョチョイイ」という、ある意味日本人のデザイン感度のマス部分を突いてますよね。

某改め某さん

商売第一で考えているわけですから、当然商売で大成功しているわけです。抜かりはないんです。それがトップ企業というのが情けないという話ですね。フル乗車についても「実際にはほとんどない」という抜かりない計算がありますから、欠点とは考えていないんですね。それもまた残念ということです。

KATUさん

そうですね。ヤンキー文化では合理的なまとまりも整合性も要らないんでしょうね。ぶっちゃけ、デザイナーだって悪ふざけの領域で描いているんでしょう。悪ノリというか。それどころか、それなりに上手くまとまっていると評論家ですら「地味だ」と言い出す始末ですし。そういう計算ずくの商品にユーザーは競って飛びついてくれるわけですから、もう笑いが止まらないんじゃないでしょうか?

投稿: すぎもとたかよし | 2018年1月 9日 (火) 21時55分

初代アルファードと先代エルグランドの頃からして、スタイリングだけで見れば
圧倒的にエルグランドだと思ったのですが、この種の車の主要購買層は
綺麗に仕上げられた箱よりも、箱の上を雑多なラインが整合性なく走り回り
造形的に破たんしている箱が派手で良いのでしょうね。
エアロを組むユーザー層の大部分がベースデザインとの調和よりも
ゴテゴテの付加物の異物感による迫力、凄みを好むのと似た理由なのでしょう。

すぎもとさんが対局の例として挙げられた?センチュリーの次期モデルについて
東京モーターショーで説明を伺った担当エンジニアが、アルファードも担当しましたとおっしゃってまして、トヨタらしいなと思いつつも複雑な心境でした。

投稿: KATSU | 2018年1月 9日 (火) 15時13分

こんばんは。

いかんせん実際問題としてコレで売れてしまっているので、
トヨタの戦略は大成功と言わざるを得ません。

実車を見ましたが、好き嫌いはさておき、
そつのない作りはさすがにトヨタ、抜かりはないと感じました。

しかし、この手の三列シート車でいつも疑問に思うのが、フル乗車時の荷室の圧倒的な容量不足です。
フル乗車で人数分の荷物が積めない。これってどうなのかな、と感じます。

投稿: 某改め某 | 2018年1月 9日 (火) 02時37分

トップというからには、社長さんがきちんとしたジャッジができていればという話でしょう。あとは、お目付け役がちゃんと苦言を呈することができるか?
あとは、ライバルが対抗してくれないと駄目ですよね。日産エルグランドは放置気味ですし、ホンダオデッセイはちょっとライバルたり得ないですし・・・
デザイン以外にも安全や、自動運転化技術、燃費、居住性など、他の条件も抜きんでていいですからね。
トップが依然としてデザインに対して「Wow!」を求めていて、買う側もそのデザインでもそこそこいいと言えば、当分は続きそうですね。

投稿: アクシオム | 2018年1月 8日 (月) 22時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新車心象風景:トヨタ アルファード・ベルファイア:

« 雑誌記事:旧車デザインコラムの24回目です | トップページ | 雑誌記事:旧車デザインコラムの25回目です »