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新車心象風景:トヨタ・C-HR

Photo_2いつまでこういう感じなのかなあ、と思うんである。

B5判雑誌では、クルマ好きプロデューサーのテリー伊藤氏が大絶賛だ。こんな素晴らしいクルマを作ってしまったら、他のメーカーは青ざめるしかないとまで言い切るほどに。

もちろん、メディア自身も絶賛。章男社長の「もっといい、ワオ!なクルマを」を代弁するかのように、あの退屈なトヨタがここまで変わった!という方向の話だ。いや、実際に販売も好調らしいし。

で、僕自身はまったくピンと来ない。カッコいいか悪いかというより、もっと根本的なところからダメな感じだ。

いまやすっかり定着したコンパクトSUV、もっと言えば個性的SUVブームの火付け役は、たぶん日産のジュークだろう。相当にぶっ飛んだ格好のニューカマーは、欧州で大ブレイクしたのに続き、意外に日本市場でもウケた。

次いでホンダが投入したヴェゼルは、ジュークほどではないにしろ、ボディに特徴的なラインを走らせた個性派ボディで、周到に用意したハイブリッド版とともに、これまたヒットとなっている。

そうしてトヨタの出番だ。少なくともタイミング的には、例によって今回も後出しジャンケン。美味しい市場ができたし、さあそろそろ一丁乗り出そうかと。しかも、ここは個性派SUV市場。とにかく目立ってナンボだ、と。

C-HRは、その「目立とう精神」そのものの勢いで作った感じが如実に表れていて、どうもそこがいけない。つまり、従来にはない新しいクルマの造形を生み出すというよりは、表面上の注目度に主眼を置いた発想ということだ。

もっと言えば、ボディにどれだけ目立つ盛り付けができるのかに注力した感じ。セクシーダイアモンドを語るドア面も、やたらにエグったホイールアーチ周りも、流行のピラー内ドアハンドルも、そしてDピラーを抜いたグラフィックも。

たしかに、全体として破綻は感じられないけれど、それは、逆に言うとシルエット自体は何の変哲もないSUVルックであることの証で、クルマのデザイン文法そのものをひっくり返したジュークとは比べるべくもないんである。

だから、これをカッコいいと思うユーザーがいるのはいいとしても、プロである評論家やメディアが絶賛するのはいかがなものかと思うし、ましてやこれでトヨタが変わったなどとは片腹痛い。僕に言わせれば、もう何年も前の初代RAV4の方が、よほどコンパクトSUVとしての先進性を感じる。

カローラやカムリ、SAIなど、売れない車種に対する強引な整形は、まあ緊急避難的に割り切った仕事なんだと僕は思っていた。けれども、こうしてニューカマーまでもが似たような「勢い」で登場すると、これはちょっと、と思うわけだ。

「C-HR、カッチョいいー」という次元での話がメディアで展開されるような状況は、一体いつになったら終わるんだろう。

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「新車心象風景」カテゴリの記事

コメント

終わらないんじゃないですかね。
自称"良識派"評論家の感性が時代に合わなくなってきたんだと思いますよ。

CG誌上で高島氏も昨今のデザイン風潮を嘆いてましたが、ちょっと滑稽に感じました。
やっぱりね、時代遅れの老兵の愚痴に思えるんですよ、ああいうの。
ジウジアーロがエッジの効いたデザインを推し進め、そのエピゴーネンが続々と生まれていた70年代半ば
それらを「折り紙細工」と揶揄していた人達の姿と高島氏がどーにもカブるんです、皮肉なことに。

要素の多いデザインを玩具のようだと腐し、押しの強いデコラティブな車をマイルドヤンキーと小馬鹿にする。
そういう風潮ばかりが鼻につくから、自動車に関するメディアや評論は見捨てられてるんじゃないかと。
流行に迎合せよ、とは言いませんが、それにしても価値観が固定化しすぎてる気がします。

投稿: 自動車好き | 2017年5月 9日 (火) 00時26分

C-HR、4月の国内販売トップを取りましたね。まぁトヨタ自ら世界戦略車と言って宣伝しているクルマですから、日本でも売れないとイケませんから。
でもこのコンパクトクロスオーバーのクルマって、どのメーカーでもデザインはいうに及ばず、パッケージにまともなクルマってないですよね。みなスペシャリティに向きすぎていて、仕事で使いずらいんですよね。
自動車メディアが批判ばかりもおかしいけど、称賛ばかりというのも変で、いいところ、悪いところ、もっと白黒はっきり評価してもいいと思いますね。
そういう点で、AUTO CAR JAPANのwebサイトで掲載されているイギリス本国の試乗レポートって非常にわかりやすくて読みやすいですよね。まぁ訳がおかしい時もありますが・・・
自動車好きさんのおっしゃる通り、ご年配の方々が現在のデザイン風潮に嘆かれるのは、僕もよく耳にします。時代遅れと一概にいうのもなんですが、彼らは、もっと素直なデザインがいいと言っていて、それで昔のデザインが引き合いに出されるんだと思います。
たぶん、これから先は、少しデザイン的に落ち着いてくるんじゃないかとボクは感じるんですが。ジュネーブショウを視察していると、欧州のメーカーにはそれを感じますね。まぁ全部が全部じゃないですが、そういうメーカーもぼちぼち出てきたと。

投稿: アクシオム | 2017年5月 9日 (火) 19時59分

この度のC-HRもそうですけど、新型(もう新型とは言わないんでしょうか)プリウスも。どうしてデザインに見えないのか、うまく表現できなかったのですが。
思うに、面が多すぎて整理できていないために混乱する造形、だと思います。9割程度の面と面の境目のエッジを曲面でつないで整理すると、ある程度、シックリくると思います。そうするとC-HRはジュークとの違いが分かりにくくなるのかもしれませんが。
デザイン的なセンスのなさがあるなあと思います。
自動車に関する話題は、それ以外にもいろいろあるので、こちらのブログで、素人から見た疑問など取り上げてくださればおもしろいなあと思います。
例えばプリウスなどハイブリッド車は面白い車なのか、とか。何度か、プリウス乗ってみたけどアクセル踏んでも加速しないんだよなあ、なんて感想を知人などから2,3度聞いたことあります。私自身は初代を試乗して電気的にはびっくりしましたが、乗り心地は悪いなあ、という感想でしたが、最新はどうなんだろう、なんて思ってます。
つまらない運転フィールの自動車に乗ってると、運転者の感性も鈍麻すると思いますので、日本人の感性を救う、という気持ちでいろいろ取り上げてください。
あんまり批判すると、貴殿に自動車評論の仕事が来なくなる、とは思いますが、できるかどうかわかりませんが、がんばってください。

投稿: hanaboo777 | 2017年5月 9日 (火) 21時27分

自動車好きさん

時代とデザインの良し悪しは別ですね。要素が多くてもいいデザインはあるし、要素が少なくて退屈なデザインもあります。年代は関係なく、そこがちゃんと押さえられていればいいんでしょうね。

アクシオムさん

C-HRについては、後方視界があまりに酷いと指摘している評論家さんはひとりいますね。僕はスペシャルティなSUVはいいと思いますが、あまりに安易にそれを狙うのはどうかと思っています。

hanaboo777さん

ご提案ありがとうございます。僕が試乗インプレッションをやらないのは、その能力がないと思ってるからなんです。走行性能や乗り心地など、細かな点を指摘できるような違いが分からない。ただ、それは多くの評論家がやってくれますからね。

投稿: すぎもとたかよし | 2017年5月 9日 (火) 21時56分

hanaboo777さん:

会社の車が先代のプリウスで、その時に知ったのですが、
プリウスは走行モードを Eco, Normal, Power の3段階で切り替えられるようになっていました。
これを Eco モードにしているとびっくりするくらい加速しない車になります。
アクセルを踏んでも、車の方で絞ってしまうので
首都高の入り口など、合流が短くどうしても急加速が必要な時は怖いくらいに加速しません。
hanaboo777さんの知人の方が乗られたときにも、Ecoモードになっていたかもしれませんね。

投稿: 通りすがり | 2017年5月11日 (木) 11時20分

まさか、
ひょっとこのイメージのNISSANのsuvがいいとか、
とっつあんのデザインのHONDAのsuvがいいとか、

というご意見ですか?

あるいは、大衆とは違う選ばれたものの宿命として、大衆の嗜好を低レベルと言わざるを得ない?

投稿: おっとっと | 2017年5月20日 (土) 06時11分

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