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クルマ散策:使えるものは何でも?

Cp_skyline_170410何だか、とても白々しい気になるんである。

日産は先日、スカイラインの誕生60周年を記念したイベントを開催した。六本木ヒルズの特別会場をはじめとし、本社や銀座のギャラリーに歴代車を展示しての催しだ。

メーカーが自ら歴代の商品をリスペクトすることは決して後ろ向きの姿勢じゃなく、むしろ、常にそうした気持ちを持って日々開発に当たることが大切であるとも言えるんである。

だから、ゴーン氏を招いてV字回復を果たしつつある日産が、TVCFにフェアレディなどの歴代車を登場させたときは、日本でもこんな見せ方をするメーカーが現れたのかと感心したもんである。

けれども、当時の秀逸なラインナップがモデルチェンジ毎に妙な感じになり、やがてグローバル化の名の下に日本市場から「ちゃんとした」モデルが次々に消えていった経緯はご存じのとおり。

あのクルマは北米用を使い、こっちは新興国用と共用し、そっちは中国向けを使えばいいでしょなどと、単なる商売上の合理化が国際感覚溢れる日産のグローバル路線らしく。それでもって国内シェアが1割を切っても、まあ世界総生産でプラスになればいいじゃんと。

こうなると、歴代車がどうのこうのと語ったところで、かつてのように純粋な感銘は湧き出てこない。ロクな商品も揃えずじり貧になった市場には、まあ一丁こんなイベントで懐かしさを喚起して、あわよくば当世代のユーザーの財布の紐を緩めようかという、実にあざとい企画としか思えない。

もともと、国内でまともに売れるのはノートとセレナだけという状況下、そのノートがe-POWERで販売を伸ばしたからといって、これで日産もいよいよ国内市場充実、みたいな短絡的報道が行き交う中だけに、なおのこと虚しさを感じてしまう。

本当に歴代商品を敬うなら、メルセデスやボルボのように旧いクルマをリフレッシュするようなプログラムでもやってみればいいと思う。人気のR32の一部パーツを再供給するとか、そういう狭い発想じゃなく。

ずっと小さなマツダでさえ、初代ロードスターのレストア車を売るっていうんだから。

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雑誌ナナメ読み:タイトル先行?

Navi一体、誰に向けた誌面なのかなあと思う。

雑誌『NAVICARS』、先月売りの特集は「トヨタが好きで悪いか!」

クルマ好きにとっての「トヨタは眼中なし」という風潮を考えれば、まあ目を引くタイトルではある。

そのトヨタについて、どんな切り口が展開されるのかと編集長の前口上を見れば、章男社長の「もっといいクルマ」なんて掛け声や、C-HRだのプリウスPHVのチャレンジングなデザインと、昨今の「変化の兆し」を掲げている感じだ。C-HR云々で変化を語れるのか?という疑問はともかく、取りあえずいまのトヨタを絡めた話だと思うじゃないか。

ところが、なぜかそうはなっていない。

冒頭のトヨタ車ランキングアンケートでは、ハチロクだのセリカだのMR2だの、もはや消えたクルマばかりが登場し、続くオーナー取材でも同じくハチロクに2000GT、ダルマセリカと旧車のオンパレード。2T-Gエンジンはよかったね、なんて記事もあったりする。

いやいや、さらに「あの時トヨタは若かった」というカタログプレビューも70~90年代特集だし、レアカー探しもまた懐かし車ばかり。そうして冗談じゃなく、トヨタ博物館の紹介でもって特集は終わる。

かろうじて「いま」を語ったのは、例のWRC復帰とミライの簡単な紹介くらいなんである。

つまり、昔はこんな面白いクルマがあった。いや、いまでも私はこんなクルマ乗ってますよと、ただそれだけの内容が楽しげに載っている。ここには章男社長の言葉の真意もなければC-HRも出てこないし、好き嫌いの分析もない。

NAVIという一時代を作ったタイトルを借りつつ、とにかく皆一緒になってクルマを楽しもうという、よく言えばポジティブ、そうでなければ脳天期なハッピー指向だけで作られた、まるで豪華なサークル本のよう。

このNAVICARS、前号も「クルマ雑誌は死なない」なんて刺激的な特集を掲げ、しかし中身は心酔する元VAVI編集長をはじめ、ほぼ全員が業界関係者による「クルマ雑誌大好き」インタビューで構成するという暴挙をやっている。

自動車雑誌の生き死にを語るとき、当然いちばんに意識しなくちゃいけない読者(ユーザー)目線を完全に無視し、もちろん社会的な背景もすっ飛ばした、内輪だけによるハッピー光線全開の記事だ。

今号もそうだけど、それこそNAVIで育った僕のような人間には余りに稚拙で物足りないし、かといって昔を振り返ってばかりの記事が若者に受けるとも思えない。だとしたら、一体どんな層に向けて、何を訴えようとしているんだろう?

中身は?だけどNAVIみたいな表紙で、NAVIで活躍していたカメラマンの写真にNAVIで描いていたイラストレーターのカット。NAVIみたいな対談に、NAVIで見たようなコラム、そしてNAVIみたいな編集後記。

一時代を作った冊子の功績を想うと、これほど辛い雑誌はないんである。

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新車心象風景:マツダ・CX-5

Photoいまのマツダを語るのは、ちょっと難しいと思う。

スカイアクティブと魂動という印象的なコンセプトを前面に出し、全車種を統一させたイメージでまとめる。エンジンをはじめとした機能類は、やはり全車でアップデートを欠かさず、常に仕様変更で対応する。

統一したスタイリングはブレがなく、こちらも常に進化を絶やさことなく魂動そのものを成長させる。同時に、インテリアもまた全車同方向の考え方でまとめ、群を抜く質感をも与える。

つまり、商品作りの姿勢が真摯で、ブレも迷いもなく、自らの信じた方針を貫いている。そして、肝心なのは、それら一連のクルマ作りが世界で評価されているという事実なんである。

そうして2周目に入った新しいCXー5が、若さから大人にコンセプトを進め、目に見えるクオリティアップに力を注いだことに、日本メーカーとして敬意を表さないわけには行かない。

じゃあ、何が難しいのかといえば、実はその魂動の中身自体なのかもしれない。

それ以前のプロミネンス・フェンダーを部分的に引き継ぎ、パワーを溜めたフロントフェンダーからリアに向けてラインを引く。リアは、これも後輪に重心をのせるべく後ろからラインが引かれる。この基本的な造形の話だ。

僕は、たとえば新しいCXー5を美しいと思うし、商品としての価値や魅力も感じている。けれども、このデザインに全面的に賛成かと言えば、実はそうでもないんである。

いや、もちろん僕個人の好き嫌いの話じゃなく、この基本造形は実のところ結構に個性的だという話だ。あるいは、クセが強いと言ってもいいかもしれない。

新型のデザイナー氏は今回、「引き算のデザイン」としてよりシンプルな造形を目指したと言うけれど、マツダという中規模メーカーが全車でスタイルを統一しようとするとき、そもそもより普遍性を感じる基本形を持っていることが望ましかったと僕は思っている。

たとえば、現行アテンザには躍動感があっていいなと思いつつ、質感云々を別にすれば、初代の清々しさの方に可能性を感じるといった具合に。

だから、仮に新世代商品群のスタートを切る先代はそれなりに特徴を持たせる必要があったとしても、2代目以降は必ずしも同じ文法でなくてよかったのでは?と思ったりする。

新しいCXー5が、より整理されたラインと面を持っているのが分かってはいるけれど、しかしそもそもの造形テーマとしてどうだったのかなと。

いまのマツダを語るのが難しいというのは、まあそういうことなんである。いや、まったくもって贅沢な注文ということは重々分かってはいるけれど。

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クルマ散策:不定期コラム掲載されました

Photo自動車専門サイト「クリッカー」での不定期コラムが掲載となりました。

今回は、先日発表となったスバルの新型XV・デザインインタビューです。

XVは事実上インプレッサの派生となりますが、インタビューも新型インプレッサに引き続き、スバルデザイン部長である石井守氏にお願いしました。

最近は試乗会時に、比較的じっくりと時間をとってインタビューをすることが多いのですが、今回は発表会の中で話を聞いたこともあり、ちょっと短めのインタビューでしたね。

では、お時間がありましたら下記サイトにてご笑覧ください。

(クリッカーサイト)

前編

https://clicccar.com/2017/04/18/462692/

後編

https://clicccar.com/2017/04/19/462726/

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新車心象風景:スズキ・ワゴンR

Photoちょっと、中途半端だったのかもしれない。

乗用車的にスッキリまとめた先々代が好評で、先代はその延長路線だったそう。わずかにウエッジさせたボディはたしかに嫌みがなく、スポーティさも感じられるものだった。

けれども、同じ路線が2代も続けば変化を求められるのは常で、名前のとおり「よりワゴンらしく」といった原点回帰な発想が出てくるのも順当だ。今回は、だからその回帰の具合が中途半端だったかと。

何しろ、ボディの前半分をパーソナルな乗用車風に、後半分を実用ワゴン風にとしたコンセプトがまさに中途半端。もちろん、「ワゴン」をハイエースなど商用車風、あるいはミニバン的な見せ方と解釈したのは理解できるけれど、いかんせん小さなボディの中では消化不足だった。

そもそもワゴンRの魅力は、上方向にサイズを求めた実用性だけでなく、そこに機能性を打ち出した、まったく新しい道具感溢れるスタイルが新鮮だったんである。それは決して単に商用っぽいだけの表現じゃなくて。

スズキには、直近で現行アルトという絶好の見本があるんだから、原点回帰というならもっと徹底するべきだったと思う。シンプルな四角形で顔をまとめた標準車でさえ、上屋が重く、のぼーっとしたボディで台無しだ。

さらに、ふつう、ちょっとスポーティ、すごくスポーティという3パターン展開も「どっちつかず」の半端な発想のひとつだろう。もちろん、ノーマルとカスタムという展開自体があまりに安易だし。

個人的には、もっと機能的でシンプルなボディがあれば、あとはRS仕様くらいあれば十分だと思うけれど、どうしても別バージョンが欲しいなら、より道具感を強めたクロスタイプなど、ヤンキー方向以外の提案を期待したい。

同じくインテリアも中途半端だ。傘が入るのがウリなどと言うのなら、全体的にもっと機能を打ち出した見せ方もあったと思う。

最近のスズキは、新プラットホームの評判の一方、商品企画としてどうも安定感が足りない。ハスラーやアルト、イグニスなどの良品がある一方で、バレーノや新しいスイフト、ワゴンRのような半端な商品がしれっと出てくる。

何でもアリの面白メーカーであっても、一定の基準を確保できるような「まとめ役」を立てるべきなんじゃないか。ワゴンRの散らかりぶりは、そんなことまでも感じさせるんである。

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雑誌記事:短いコラムの掲載です

Photo自動車サイト「クリッカー」への記事が掲載されました。

今回は、ルノーの現行メガーヌ最後のスポール仕様である、273シリーズについて。

といっても、いつものインタビュー記事ではなく、とても短いコラムです。実は先日のスバルXV発表会の後、273シリーズの撮影会に行く機会があり、じゃあ1本書こうかと。

「クリッカー」は、どちらかというと僕のような前後編のインタビュー記事はほとんどなく、大半が「小ネタ」に近い短文の記事です。僕のような新車時だけのインタビュー記事では、当然記事本数も少なくなってしまい、そのあたり編集部の意向もあって、今後はその「小ネタ」記事も増やして行くこととなりました。

いつものデザインとは関係ありませんし、アッという間に終わってしまいますが、よろしければご笑覧ください。

(クリッカーサイト)

http://clicccar.com/2017/04/12/462449/

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クルマ散策:スバルXV発表会に行く

Img_0179今日、スバルの新型XV発表会に出掛けてきました。

会場は、いま話題の豊洲市場の向かいとなるスポーツ施設。豊洲はもちろん初めてでしたが、すでに首都高速が直結していたりする一方、空き地も多く、何だか荒んだ感じでしたね。地下水云々とは別に、あまり生鮮食品を扱う場所とは思えませんでした。

今月社名変更をして最初の発表会となる本日。事実上インプレッサの派生ではありますが、スバル的には別車種とのことで、それなりに力の入った会になっていました。もちろん、いまやシリーズの半分を売る人気車種になったこともありますし。

開発者の言葉では、主査とエンジニア、デザイナーがそれぞれ語ることが多いですが、今日は主査の方が一手に引き受けた形で、異例に長い説明となっていました。話が分散してしまうのを避けたのか、何らかのパワーバランスがあるのか?

質疑ではやっぱり新しい動力源の開発についてがありましたね。今後HV、そしてPHVとの回答がありましたが、その辺は待ったなしです。

あ、今回は本日発表の自動車アセスメントで、シリーズが衝突安全性能評価の「大賞」を獲ったというオマケ付でした。まあ、それも含めてスバルは順風満帆ということなんでしょうか?

取材内容は、後日記事が掲載されましたらお知らせします。

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クルマ散策:ジュネーヴショー雑感

11900x475今年のジュネーヴは日本勢が目立っていたなんて声があるけれど、ホンダのシビックも、スバルのXVも、三菱のエクリプスもいまひとつピンと来ない。唯一、レクサスの新型LSは早く実車を見たいと思うけれど。

一方、外国車ではボルボのXC60が意外に想定内で、これは次の40シリーズに期待かと。A4雑誌方面ではベストとの声も高いアルピーヌ110は、ボンヤリしていてどこがいいのかよくわからない。まあ、クルマ好きの郷愁に訴え掛けるんだろうけど。

そんな中、個人的なハイライトはジウジアーロが帰って来たことかもしれない。

VWグループとなったイタルデザインを去るのが、マエストロだけでなく息子のファブリツィオも連れてというところが、何となく近々の活動再開を思わせるところだった。今回、早くも新会社GFGによりコンセプトカーのお披露目となったわけだから、退社時にはそれなりの仕込みがあったわけだ。

で、今ショーではそのイタルデザインと両社ともがスポーツカーを持ち込んだのが面白いところ。イタルのゼロ・ウーノが近作に準じて若干煩雑さを感じるのに対し、均整を保ちつつ新しいインパクトを打ち出した中国メーカーからのGT96は、実に「らしい」提案だ。

Parallax3altoそのイタルは、ゼロ・ウーノで少量生産の新ブランドを発表した。実際にはグループ内で様々な仕事をしているんだろうけど、表向きにはそこに活躍の場を見出す格好なんである。

けれども、イタルの歴史を踏まえれば、これには結構な違和感がある。わずか数台の高級スポーツなどではなく、本当はVWやアウディ、シュコダなどにこそ名前を使うべきなのに。

そうなると、GFGには今後できるだけ多くの実用モデルを手掛けてほしい。もちろん、各社のインハウスデザインが充実するいま、多くの外注があるとは思えないけれど、マエストロの名前を最大限に利用した活動を期待したい。

国内外を問わず、ムダに過剰な表現か、あるいは退屈な造形が行き交う現状に対し、いま一度、自動車デザインの肝を見せてほしいと思うんである。

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