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新車心象風景:メルセデスベンツ・Eクラス

Img_avangarde_01あらためて感じるのはブレのない姿勢だ。

新型ディーゼルなど、一部グレードは未着ではあるけれど、導入早々に新型の実力は認識されたようで、立ち上がりインプレッションは各誌満点状態。CクラスがDセグのベンチマークとされたのに引き続き、Eクラスもまたアッパーミドルのベンチマークと評される。

当たり前だけど、VWのゴルフ同様、毎回「ベンチマーク」とされるのは栄誉とはいえ、そう容易なことじゃない。それができているのは、結局地道な「積み重ね」の継続なのかと、いまさらながら思うんである。

かつてのミディアムクラス以降、途中コストダウンを意識した寄り道もあったけれど、基本的には着実な成長を歩んできた。デザインの変化も含め、すべてにおいてひたすら「前型に上乗せ」の繰り返しだ。

自動車技術は日進月歩。素材の進歩も合わせ、従前の実績・経験を踏まえた確実な上乗せを続ける。それをブレずに30年、40年継続すれば、まあ相応の商品なるだろうと。概ねドイツメーカーは、そうやっていまの地位を得た。

ここで思うのは国産メーカーの姿勢。この「積み重ね」ともっとも遠い発想なのが日本車なのか、なんていう。

たとえば、今年50周年を迎えたカローラがあれほど残念なことになっているのがいい例だ。何と11代も続けているのに、エンジンもサスペンションも、ボディも、エクステリアもインテリアも、ロクな蓄積もなく、マイナーチェンジではいまさら格好を激変させるような体たらく。

モデルチェンジを、単に商品イメージを変えるだけの機会とし、主査を代え、下手をすれば前型を否定するところから始めたりする。機関類はときどきの都合で安易に調達され、コストも直近の業績でコロコロ変わる。

本来なら、新型は50年分の膨大な蓄積があって然るべきなのに、見方によっては貯金ゼロ。まあ、日本の良心と言われるクラウンでさえ、短いモデルチェンジ期間の回数分だけ貯蓄するというより、継続そのものに主眼が置かれた感じだけど。

かつて欧州イヤーカーを受賞したマーチやヴィッツが、もし着実な「積み重ね」を続ければ、ポロやアウディA1など相手にしない高CPなコンパクトカーになれただろうし、コロナやブルーバードが確実な成長を続ければ、Cクラスや3シリーズに対抗できる日本独自のミディアムセダンとなり、輸入車に占拠される昨今のセダン市場も違った状況になっていたかもしれない。

いや、ガラッと変わるモデルチェンジ自体が絶対にいけないわけじゃない。それこそが日本流のやり方として、とことん突き詰めればある種の蓄積になり得ると思う。けれども、べつにそこを意識して邁進しているわけじゃないのが残念だ。

軽自動車もまた例外じゃない。代を追って成長こそしているけれど、その進捗幅がとにかく狭い。いまやコンパクトカーと同等かそれ以上の値札を付けながら、いつまで経っても「軽にしては」の条件付き評価で、長い歴史を埋める「積み重ね」はほとんど感じられない。

安くて壊れず、機能性も高い。そんな日本車が「積み重ね」を実践したら、ある意味無敵のクルマができる。そういう機会を、大した思想もなく逃し続けるのは実にもったいない。

Eクラスの安定感は、そんな妄想をかき立てるんである。

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コメント

10数年ドイツ車を乗ってきて思ったのは、モデルチェンジする度に「あー、やっぱり新型はいいよなー」と思わせる魅力があることです。間違っても「やっぱり先代の方がいいや」っていう、ホットするような気持ちにはならなかったですね。つまりはドイツ車の魅力ってそういう部分なんだろうなって気がしてます。

投稿: としぴぃ | 2016年11月 3日 (木) 20時01分

今度のEクラスは、ブレるとかブレないよりも、メーカー全体で一括開発をして、Sクラスから始まり、Cクラス、Eクラスと続いたモデルチェンジをしてきた面が強いと思いますね。だから従来のようなミディアムから続く、Eクラスならではのモデルチェンジというよりも、言い方は悪いけど小さいSクラス、大きいCクラス的なモデルチェンジをしてきたかと。別の言い方をすると、メルセデス全体の世代がすべて新しいフェイズに入ったというべきかもしれませんね。
蓄積という意味では、実際に乗って、運転してみたときの大きさの割に抜群な取り回しの良さとかじゃないでしょうか?
このメルセデスに近いやり方は、日本でいうとマツダでしょうか。今月発表されるCX-5の次期型のモデルチェンジで、どういう新しいスカイアクティブと魂動デザインを見せてくるのか?ロサンゼルスで実際に見てみたいと思います。

投稿: アクシオム | 2016年11月 4日 (金) 22時11分

こんばんわ。
ベンチマークと言っても雑誌や評論家が決めてるだけあって(笑)、基準にすべきは消費者個々の判断が一番大事だと思いますけどね。
カローラに言及されていますが、あの車こそ積み重ねの極み、過去に所有したこともあるし、最近でもレンタカーで乗ることも多いですが、これほど完成度の高い車もないと感じます。
何のストレスもなく下駄代わりに使えて、しかもほとんど壊れない、これこそ究極の道具だと思いますけどね。
日本市場ではトヨタの戦略かほとんど目立たないのですが、北米アジアで月数万台を売り捌くベストセラー、ベンチマークを言うならカローラこそ本物のベンチマークですよ(笑)

投稿: ミルカ | 2016年11月 4日 (金) 23時52分

トヨタの思想は首尾一貫していて「世の中車好きは1割しかいない、残り9割は必要に迫られて車買ってる人だ」
だからこそ「9割の人に向けて車を作るべきだ」ということ。

「車に興味がないんだから、できるだけ燃費よく、故障なく、快適に使えるように(だけ)しよう」と考えるか「車好きになってもらえる車作りをしよう」と考えるか。
カローラは常に前者だったんだろうと思います。トヨタの人に「ゴルフに負けないカローラ作りたいですか?」と聞いたら「日本人が日本で使うには過剰品質だしコストがかかりすぎるから作りません」と答えるでしょう。でもアクセラやインプレッサはドイツ車と異なる価値観で勝負し始めている。トヨタがいつまでもユーザーを無知なままにしておけるとはとても思えないんですけどね。

投稿: ネコ | 2016年11月 5日 (土) 22時52分

としぴぃさん

うーん、国産車の「前のはよかったなあ」はたしかに多いですね。それで変に人気が出るのも面白んですけどね。

アクシオムさん

そうですね。新世代のマツダがどう育ってゆくのか楽しみです。ロスのCX-5は僕も注目しています。現行を継ぎながらも、確実な新しさを出せるかどうか?

ミルカさん

先月九州でフィットのレンタカー借りましたがストレスなかったですね。あれってベンチマークのなのかな?

ネコさん

問題は、歴代カローラで「これはよかったなあ」というのが数台あったりすることですね。何で前の方がいいのか?

投稿: すぎもとたかよし | 2016年11月 7日 (月) 15時39分

ベンツをベンチマークというのは、どうでしょうか~・・誰でも買える価格ではないですもの~・・
そもそも車は、道具というには高価すぎますよ!
百歩譲って、道具とするなら、人それぞれにあった道具としての車があってしかり、
つまり、重要なのは、その人にあった車かどうかじゃ~ないでしょうか?
私は、ベンツを何台も乗り継ぎましたが、道具と思ったことはありませんね~・・
ただ、私にとって、ベンツが一番信用できる車なですよ!
見たこともない他人が、工場で作った鉄の塊に、家族を乗せ、場合によっては100キロ以上で走るわけですよ!
また、いつ事故にあうか?また起こすかわからないじゃ~ないですか・・そうなると、より安全なものを求めるでしょ!
で、今、私が一番安全じゃないかな~と感じたのが、Eクラスなですよ!

当たり前ですが、その時に信用できるものを選ぶでしょ! 

投稿: 通りすがり | 2017年3月 8日 (水) 16時34分

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