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雑誌ナナメ読み:東京ショーは熱かった?

Img_1990 何かこう、見方が短絡的になっているんじゃないか。

 東京ショーが終わり、各自動車メディアでは振り返りの記事が掲出されている。取り上げ方はいろいろあれど、しかし内容はどれも似たようなものだ。

 たとえばいま手元にある『NAVI CARS』もそうで、今回のショーはマツダのRX-VISIONとトヨタのS-FRに代表されるスポーツカーの復権、そして日産IDXコンセプトなどの自動運転が主役で、そこにトレンドが見えたと。

 たしかに、今回の目玉なんて話ではそんなまとめになるんだろう。WBSや報道ステーションなど、TVメディアでは自動運転など嬉しくて仕方がない素材だったようだし。

 一方で、来場者が一割減だの、若者のクルマ離れだの、あるいは国際ショーとして東京はどうなんだなんて話もあるんだけれど、これまた同じくスポーツカーが特徴的だっただの結構な熱が感じられただの、正体不明な楽観論があちこちで見られる。

 で、そんな中、今回のショーで言えば、個人的にはスズキのブースにいちばんの可能性を感じたんである。

 まず、純粋なコンセプトカーのマイティデッキとエアトライサーでキッチリ新しい提案を見せ、その出来もよかった。さらに、近日発売予定のイグニスでは特別仕様をコンセプトカー扱いにしつつ、市販版もしっかり数台を用意した。そして、こちらもまたいい出来。

 さらに、アルトではワークス、ハスラーでは仕様変更版として新色ボディを並べた。つまり既存車でも見るべき展示車をちゃんと用意し、結果、実に地に足の着いたブースになっていたんである。

 考えてみれば、そもそもモーターショーはコンセプトカーだけじゃなく、既存ラインナップもしっかり揃えて自社の取り組みを見せる催しだった筈。

 実際、ユーザーからしてみれば、未来のコンセプトカーも見たいけれど、いま売っているクルマを一度にまとめて触れることのできる貴重な機会なんである。もちろん、それが近日登場の最新仕様だったりすればなお嬉しい。

 大規模な海外のショーにしたって基本はそのパターンで、どちらかと言えば純粋なコンセプトカーは”展示の一部”といった扱いだろう。いや、東京ショーだって外国メーカーはそれに近い展示になっている。

 そんなもので見応えのあるショーになるのか?と聞かれれば、現行ラインナップがどれも魅力的であれば十分可能だと答えたい。いや、結局話はそこに行き着くと。

 だから、セールス優先の退屈なラインナップを敷いておいて、ショーの時だけ未来チックなコンセプトカーを並べたところで、それをわざわざ見に行こうなんて思うのはなかなかに濃いファンばかり。それじゃあ、大きな単位での来場者数増は到底望めない。

 で、成熟国家としてむやみな右肩上がりはもうあり得ないと同時に、いま検討されている燃費別新税をはじめとした重課税に高額な高速通行料、車検費用、駐車場代等々、クルマを持つ環境をこれだけ悪くしておいて、いまさら「クルマ離れ」もなかろうという話も同時にある。

 メディア、ジャーナリストという視点から考えれば、いい加減その辺から言及を深めないと根本的な解決には向かないだろう。少なくとも、ショー会場でガイドツアーをすればいいってもんじゃないし。

 クルマを買って乗りやすい環境、しっかり作り込まれた魅力的な市販車、集大成としてのモーターショー。これらがグルリと回ってこそ業界の活性化があるんじゃないか。そういうことなくして、ショーだけポッと盛り上がるなんて魔法はないんじゃないか。

 そうであるなら、メディアがやるべきことは安易な現状追認ばかりじゃなく、至極当たり前のジャーナリズムを徹底して貫きとおすしかないんである。

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「雑誌ナナメ読み」カテゴリの記事

コメント

スズキのショウ展示は確かに見事で、市販車の展示もきっちりできていましたね。まあ小さいクルマをより多くラインナップしているせいもあるけど、会場での展示密度が濃かったですよね。
とにかく東京モーターショウは、海外のショウと比べて商売をしない。もっというと商談ができない。ゆえに子供じみていているんですよね。
せっかく参考出品なりで市販予定車を用意しているのに、メーカーによっては説明員が何も言えません!なんてせっかくの商機を逃していたりするし・・・
あとよくよく考えると、ジャーナリストが会場内をガイドするのって、メーカーサイドの自工会とある意味共謀しているので、そこにジャーナリストとしての批評性はあるのか?って疑問に思いますね。

投稿: アクシオム | 2015年12月21日 (月) 21時40分

すぎもと様こんにちわ。
 
マツダの前田氏が、
『これからのマツダは、賑やかしのショーモデルを作るつもりはない。あくまで市販を見据えたコンセプトカーを展開していく』
みたいな事を仰っていた事を、なにかで目にした事があります。
 
確かに最近のマツダは『跳』しかり『越』しかりで、市販に繋がるコンセプトカーを軸に展開しているように見受けられます。
 
スズキもその点似たような戦略を設けているのかなと思いました。
イグニスなどは、ほぼそのまま市販化されるでしょうし。
 
ショーに特化したモデルも、祭りなのだからあっても良いとは思いますが、
やはり車は公道を走れてなんぼですから、あまりに非現実的過ぎるコンセプトカーばかり並べたてるのも、それはそれで如何なものかとも確かに感じます。

投稿: とあるイラストレーター | 2015年12月23日 (水) 11時42分

初めまして。
いつも見させていただいております。

かなり前から思っていたことなのですが、文中で仰っているとおり、雑誌メディアは「スポーツカー出せ」といいながらも、それを生かす環境については全く触れませんよね。

ソフト(車)とハード(道路)の関係を見れば、ソフトばかりが取りざたされて、ハードには見向きもされない。
にも拘らず、ハードの整った環境下で作られる欧州車ばかりを崇拝し、日本車は卑下される傾向は今でもありますが、どうしてそうなるかに言及するメディアをいまだ見たことがありません。

日本で一番速い車は世界でも通用する速さはあるけれど、ニュルブルクリンクでテストされていて、カタログなどでも吟ってはいるけれど、裏を返せば
「日本の道路ではこの車は作れません」
と言っているようにも取れるのが皮肉です。

投稿: J-WARK | 2015年12月28日 (月) 12時11分

アクシオムさん

説明できない謎のスタッフは多いですね。商談も・・・そういう雰囲気じゃないですね。遊園地みたいで。ガイドツアーはもう応援一点張りでしょうね。そこに疑問もないでしょうし。

とあるイラストレーターさん

ビッグサイトに移ってからより寂しいブースになった気がします。たしかにショー、お祭りですけど、本当にただの「お祭り」としか捉えていないんでしょうね。まあ、ある意味メーカー間の考え方の差が見えて面白いのですが。

J-WALKさん

はじめまして。仮に個人での仕事が難しくても、COTYやRJCなど、団体として大きく運動することは可能の筈です。その方が影響力もありますし。要はやる気なんですけどね・・。

投稿: すぎもとたかよし | 2015年12月31日 (木) 11時13分

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