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クルマ散策:今年もお世話になりました

151227_184029 今年も残すところ2日とちょっとになりました。

 年末は恒例、永六輔氏主催の「新宿寄席」へ行ってきました。新宿紀伊國屋ホールでのこの催しに行くようになって、もう10年以上になるでしょうか。

 盟友、野坂昭如氏の葬儀委員長を務めたためか、体調を壊したということで主催の永氏自身が欠席となってしまいましたが、それでも個性的な出演者によって楽しい会になりました。 今年は何かと騒がしい年になりましたが、この寄席は自分にとってゆっくり一年間を振り返るのにちょうどいいイベントのようです。

 いまこの国は、とりわけメディアにある種の自粛ムードがあり、キー局の報道番組キャスターの降板が重なるなど、とても窮屈な状態にあるようです。

 ただ、こと自動車メディア業界に目を向ければ、そんな状況はずっと以前からはびこっていて、おかしなクルマを「おかしい」と書けないなどは当たり前。何をいまさらな状況です。

 そんな空気に風穴を開けた徳大寺氏や、デザインには決して媚びることがなかった前澤氏が逝って早や1年。「先人の功績を讃える」とした自動車評論業界のいまはどうでしょうか。

 ある評論家氏は、いま売りの雑誌で「もうクルマを批判するようなことはやめよう」と書いています。きっと業界を元気にしたいという意図なんでしょうけど、そもそもこれまで真剣に相対してきた実績もないのに「もうやめよう」って?です。

 モノ申さないことは一見”ゴール”への近道ですが、実は業界の本当の活性化を考えれば疑問です。安易な太鼓持ち姿勢は、じわじわと全体の地盤沈下を招くことにならないかと。

 逆に、商品に対しての的確で建設的な批評・評価は、結果的にはメーカーに対してプラスに働き、もちろんユーザーの信頼も得て、自ずと好循環につながるというのが僕の考えです。もちろん、的確な仕事にはそれなりの技量が必要ですから、努力するべきはそこじゃないかな。

 とまあ、そんな心持ちでもって来年も細々とサラリーマン・ライターを続けたいと思います。

 それでは、みなさまよいお年を。

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雑誌ナナメ読み:東京ショーは熱かった?

Img_1990 何かこう、見方が短絡的になっているんじゃないか。

 東京ショーが終わり、各自動車メディアでは振り返りの記事が掲出されている。取り上げ方はいろいろあれど、しかし内容はどれも似たようなものだ。

 たとえばいま手元にある『NAVI CARS』もそうで、今回のショーはマツダのRX-VISIONとトヨタのS-FRに代表されるスポーツカーの復権、そして日産IDXコンセプトなどの自動運転が主役で、そこにトレンドが見えたと。

 たしかに、今回の目玉なんて話ではそんなまとめになるんだろう。WBSや報道ステーションなど、TVメディアでは自動運転など嬉しくて仕方がない素材だったようだし。

 一方で、来場者が一割減だの、若者のクルマ離れだの、あるいは国際ショーとして東京はどうなんだなんて話もあるんだけれど、これまた同じくスポーツカーが特徴的だっただの結構な熱が感じられただの、正体不明な楽観論があちこちで見られる。

 で、そんな中、今回のショーで言えば、個人的にはスズキのブースにいちばんの可能性を感じたんである。

 まず、純粋なコンセプトカーのマイティデッキとエアトライサーでキッチリ新しい提案を見せ、その出来もよかった。さらに、近日発売予定のイグニスでは特別仕様をコンセプトカー扱いにしつつ、市販版もしっかり数台を用意した。そして、こちらもまたいい出来。

 さらに、アルトではワークス、ハスラーでは仕様変更版として新色ボディを並べた。つまり既存車でも見るべき展示車をちゃんと用意し、結果、実に地に足の着いたブースになっていたんである。

 考えてみれば、そもそもモーターショーはコンセプトカーだけじゃなく、既存ラインナップもしっかり揃えて自社の取り組みを見せる催しだった筈。

 実際、ユーザーからしてみれば、未来のコンセプトカーも見たいけれど、いま売っているクルマを一度にまとめて触れることのできる貴重な機会なんである。もちろん、それが近日登場の最新仕様だったりすればなお嬉しい。

 大規模な海外のショーにしたって基本はそのパターンで、どちらかと言えば純粋なコンセプトカーは”展示の一部”といった扱いだろう。いや、東京ショーだって外国メーカーはそれに近い展示になっている。

 そんなもので見応えのあるショーになるのか?と聞かれれば、現行ラインナップがどれも魅力的であれば十分可能だと答えたい。いや、結局話はそこに行き着くと。

 だから、セールス優先の退屈なラインナップを敷いておいて、ショーの時だけ未来チックなコンセプトカーを並べたところで、それをわざわざ見に行こうなんて思うのはなかなかに濃いファンばかり。それじゃあ、大きな単位での来場者数増は到底望めない。

 で、成熟国家としてむやみな右肩上がりはもうあり得ないと同時に、いま検討されている燃費別新税をはじめとした重課税に高額な高速通行料、車検費用、駐車場代等々、クルマを持つ環境をこれだけ悪くしておいて、いまさら「クルマ離れ」もなかろうという話も同時にある。

 メディア、ジャーナリストという視点から考えれば、いい加減その辺から言及を深めないと根本的な解決には向かないだろう。少なくとも、ショー会場でガイドツアーをすればいいってもんじゃないし。

 クルマを買って乗りやすい環境、しっかり作り込まれた魅力的な市販車、集大成としてのモーターショー。これらがグルリと回ってこそ業界の活性化があるんじゃないか。そういうことなくして、ショーだけポッと盛り上がるなんて魔法はないんじゃないか。

 そうであるなら、メディアがやるべきことは安易な現状追認ばかりじゃなく、至極当たり前のジャーナリズムを徹底して貫きとおすしかないんである。

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クルマの他:ジャズピアノを聴く

Img_2103 12月は「クルマの他」が続きます。

 先週の渡辺貞夫に引き続き、月曜は新宿PIT INNでのジャズピアニスト・国府弘子による「ひろこ倶楽部」。

 毎年恒例のイベントは、これまで六本木のスイートベイジルで開催されていましたが、店の終了で場所を移すことになりました。

 今回、いつものトリオに元スクエアの本田雅人をゲストとして迎えたステージは、PIT INN 50周年というオメデタいタイミングもあり、何と懐かしの80年代クロスオーバー、フュージョン特集という趣向に。

 もちろん、4人の構成にしっかりアレンジはされていたものの、ジョーサンプル、スパイロジャイラ、チャックマンジョーネ、カシオペア等々の演目には会場も大盛り上がり。

 今年久々に出した新アルバムの収録曲も含め、自身のオリジナルもしっかり織り込んだ2時間は、年末にふさわしく実にバラエティに富んだものでした。 個人的にも、お気に入りの立飛さんのドラムを目の前で拝見することができ、これまた非常に参考になった次第です。

 それにしても、クルマに加え、いい音楽もまた退屈なサラリーマン生活にしっかり潤いを与えてくれます。これでまたしばらくは頑張れそう?です。

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新車心象風景:トヨタ・プリウス

Photo どこかに底の浅さを感じるんだろうと思う。

 新しいプラットホームは走りの性能をすっかり引き上げたようで、評論家諸氏のレポートはほぼここに注がれている。もちろん、堰を切ったような「いままでは酷かった」の連発は相変わらず失笑ものだけど。

 ただ、プリウスを選ぶユーザーに対し「乗り心地」や「コーナリング」がどれほど請求力を持つかは疑問だ。今回はHVシステムとしてもマイナーチェンジだし、じゃあ一丁スタイルでそこそこ目を引いてやろうか、なんて。

 チーフデザイナー氏の話によれば、どうやら先代は北米市場などでボクシーと評価されていたそうで、つまりは退屈だと。だったらここはパッと派手に行こうと考えたんだろうけど、どうもその中身がいささか安易だったんじゃないかと。

 そもそも、先代を悪い意味で「ボクシー」と評価することからして間違っている。先代は四角いのではなく「端正」なんである。その中に柔らかさや勢いもちゃんと織り込んであった。

 新しいプラットホームを生かした低いボンネットはいいとしても、そこから始まるショルダーラインを微妙に曲げたのが最大の失敗だ。しかも、それで広がったボディ後半に手を入れたくなったのか、リアランプへ向けて引いたフェンダーラインは子供っぽい。

 これがボクシーへの反省ということなんだろうけど、まとめ方は違いつつも歴代が築いた端正なイメージの捨て方として実に安易だ。もちろん、途中からブラックアウトさせたリアピラーも実に安直。

 話題のフロントランプ周りの表現は、だから僕には大した問題に感じない。というか、空力ボディに合わせ半ば成り行き任せに引いたようなラインなど、いちいち評価する気にもなれない。

 躍動的に攻めたことで、デザイナー氏が「賛否両論」とか「好き嫌いがある」などとある種の自信をもって語るのは、したがって実に底の浅い発言にしか聞こえない。だってそれは言い訳でしょう?

 リッター40キロ越えの省燃費、膨大な買い換え需要に絶大なブランド。すでに6万件の受注を得たのにはそれなりの理由があるのだろう。それはトヨタがプリウスという商品に対し、ブレずに真摯な姿勢で取り組んできたことの証でもある。

 評判のよくなかった乗り心地や走りの性能への取り組み。この勢いが、デザイン面ではいささかスピードオーバーになってしまったみたいだ。

 そのあたりの軽さが、最近の「ワオ!」なトヨタ流ではあるけれど。

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クルマの他:ジャズコンサートへ行く

151212_171601_2 年末だし、久々の「クルマの他」。クルマ以外の記事に興味のない方は飛ばしてくださいませ。

 写真はピンボケですが、今夜は毎年恒例の渡辺貞夫・クリスマスギフト。渋谷オーチャードホールで12月に開催するこのコンサートも、何と23年目です。

 もともと「クリスマスらしく」ストリングスをバックにした構成でしたが、回を重ねるごとにそれにこだわらない展開となり、ビバップもあればアフリカンサウンドもあり、昨年はビッグバンドでした。

 最近渡辺氏と意気投合したというチェロ奏者ジャキス・モレレンバウムとの出会いで生まれた新作アルバムは、ジャキスの編曲によるウイズ・ストリングス。ということで、今回のステージはブラジリアンなアルバム参加ミュージシャンとストリングスの競演となりました。

 ジャキスによる編曲は、チェロ奏者らしいとても優雅なもの。初期の頃は野力奏一などピアニストの編曲が多かったですが、それとはかなり違う雰囲気でした。

 個人的な話ですが、つい二日前に、とてもよくしていただいた会社の元先輩が突然遠くへ逝ってしまい、心の整理がついていなかったところ。でも、今夜の美しく豊かな編曲による名演奏の2時間は、他に代えがたい心のクッションになった気持ちです。

 明後日はまた別のジャズライブ。いまはいい音楽で心を浸したいところです。あ、もちろん、美しいクルマでも・・・。

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クルマ散策:地元イベントへ出掛ける

Img_2066 日曜日、地元の旧車イベントに行ってきました。

 有栖川宮威仁親王先導による、日本初のガソリン自動車遠乗会のゴール地点が国立市・谷保天満宮。その100周年を記念し、地元有志が7年前から主催している「谷保天満宮旧車祭」で、昨年もここで報告しています。

 当初は神社敷地内だけだった会も、7年を経て次第に規模を拡大し、市内広場など3カ所の展示場を追加。さらに市や商工会の後援を得て各種イベントも併催、昭和なバスを使ったシャトル便を走らせたり。

 で、200台を数える展示車はもう何でもアリな感じです。一桁ナンバーの初代ダットサンやアルファジュリア、サーブ99なんて渋いクルマもあれば、シトロエンSMがいたり。

 あるいは別会場にはカウンタックなどのスーパーカーやレース仕様のフィアットX1/9、かと思えば急に現代的なマセラティ3200GTなどがあったりとか。

 これは、出展車のほとんどが発起人の運営する自動車サークルメンバーの持ち物で、このクラブ自体が幅広い年代や車種のオーナーさんで構成されているためのようです。

Img_2068 ところで、クラシックカーのイベントには独特の雰囲気がありますけど、非常に高価で稀少なクルマが並ぶイベントはとくにそれを感じます。

 たとえば、オーナーさんの多くがアーミーなジャンバーにベレー帽とか、ジーンズジャケットに長い白髪を後ろで結んで・・・とか、あるいはハンチングにツイードジャケットとか。

 何かこう職業不詳というか、仕事してなさそうっていうか、どうして似たような出で立ちの方が多いのか、いつも不思議に思ってます。まあ、余談ですけど(笑)

 80年代ネオ・ヒストリックな自分にとって、50、60年代の稀少車が集まるイベントはストライクな内容ではありません。

 それでも、ラストの市内パレードを結構な数の人たちが沿道で見送っている風景は、地元の催しとして決して悪い気はしないものですね。

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雑誌ナナメ読み:スポーツカーだけじゃない

Img_1985 応援のようで、そうなっていないのが面白い。

 いま売りの『ベストカープラス』はホンダ特集。最近、売れているのは軽と一部のコンパクトだけ。こんな体たらくで大丈夫なのかという前提のもの。

 国内軽視の日産に比べれば1.5倍程のシェアを持つホンダだけど、それでもフルラインナップメーカーとしてトヨタの1/3以下というのは、たしかに納得の数字じゃないかもしれない。

 じゃあどうすればいい?

 「復活の狼煙」として編集や評論家諸氏が期待するのは、まず東京ショーでお披露目した新型NSX、ウワサが絶えないS2000後継車、そしてタイプRなんだそう。で、S660の絶賛でもって、すでに逆襲は始まっているとも。

 いや、まあ何とも相変わらずな感じだ。

 たしかにホンダは、F1を筆頭にスポーティ・イメージが強い会社ではあるけれど、当然のこととしてスポーティとはスポーツカーだけを表現するものじゃない。

 しかも、先のとおりいまやフルラインメーカーとなったホンダにとって、純粋なスポーツカーはある意味サイドを固める脇役であって、決して主役というわけでもない。

 もちろん、ドラマは脇役が光ることも大切だけど、それは盤石な主役が立ってこその話なのは言うまでもなくて。

 たとえば、量販価格帯の新型車であるグレイス、シャトル、ジェイドがいまひとつパッとしないのはなぜか。いくらセダン不振とはいえ、アコードやレジェンドはどうしていつまでたってもこんなに影が薄いのか?

 あるいは、トヨタ・ミライに並ぶ筈のクラリティも、東京ショーでさほど大きな注目を得られなかったのはどうしてなのか?

 もしホンダが不振だというなら、僕はこのあたりの理由を一度しっかり考えた方がいいと思う。ホンダが、自身のスポーティ・イメージをどんな風にとらえているのか、ホンダらしさとは何だと認識しているのか。

 少なくとも、ホンダの躍進にはNSXやS2000後継、タイプRこそ必要なんていう主張は、視野を一向に広げられない一部マニアの戯言だし、S660が復活の狼煙だなどとは無責任も甚だしい。タイプRを語るなら、そもそもベースのシビックはどうして日本市場から消えたのかの検証こそ肝要ということだ。

 メディアのそういう狭い視点が、応援どころか、実はホンダの足を引っ張っているんじゃないか? ホンダ自身にもあらぬ勘違いを与えているんじゃないか。

 もちろん、脇役のスポーツカーはどんなクルマであるべきか?の検討も含め、そろそろより現実的な提案を期待したいと思うんである。

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