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クルマ散策:デトロイトショー雑感

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 今回、やたらデザインがいいと評判の日本車勢を、自分もサクッと眺めてみようと思う。

 誰もカローラとは思っていなかったらしいトヨタのフーリアコンセプトは、「日本のカローラもこうなって欲しい!」と絶賛なんである。

 オーリスから謳われた「キーンルック」なフロントにシャープなリアは、まさにオーリスセダンといった趣なんだけれど、ここに同じくトヨタが推し進めるエッジを効かせたバンパーが加わって、まさに現在のトヨタ流満開な感じだ。

 じゃあ、これがそんなにいいのかと言えば僕は?だ。デザインがいいというより、何となくカッコいいと思わせるカタチ、とでも言えばいいのか? チョット絵の巧いデザイナーが、いまのトヨタ素材を取り入れてササッと描いたような分かり易さ。こういうのを見て、簡単に「カッコいい」なんて書いちゃう雑誌はどうかと思うけど。

Is

 新型のレクサスISは、「あー、こっち行っちゃったか」な感じだ。L-フィネスな造形表現はそれなりの可能性を持っていると思うけれど、問題はそれがボディの細部に止まってしまうか、それとも全体を貫くテーマになり得るかだと思っていた。

 で、ISはやっぱり細部止まりかと。フロントのランプ周りも、サイドからリアに向けて持ち上がるラインも、ごくふつうなセダンボディの表面に後からあれこれ描き足したようにしか見えない。怖いスピンドルグリルもそうだけど、ちょっと遠目に見るとこのクルマの平凡さがよく分かるし、だったら端正な先代の方がまとまりはよかったと思う。

 インフィニティQ50=スカイラインは、ある意味ちゃんとコンセプトカーのイメージを取り入れている。日産で好印象なのは、○○グリルとか、○○デザインとか、そういう言葉優先みたいなことを大声で言わないで、あくまでも現物で見せているところだ。

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 ただ、流麗の極みなエッセンスの要素を市販車に取り込むのは、それなりに難しいとは思う。それはつまみ出したようなキャラクターラインも掟破りな凹型グリルも同じで、制約されたサイズの中では消化できない危険を伴う。実際、Q50も結構ギリギリな感じだし。

 レゾナンスは、次期ムラーノとか単なるデザインスタディとか諸説あるけれど、いずれにしても日産ブランドはどうもこっち方面なのかと。ジュークの奇抜さというよりは、ノートのライン構成を発展させた感じだろうか。

 たしかにフロントグリルと一体になったボディ前半の塊りと、ブラックを多用したシャープなリアの組み合わせは結構まとまりがいいと思う。けれども、日産は本当にこういうエモーショナル方向に邁進してしまうのかという点には一抹の不安がある。

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 それは、欧州フォードや韓国勢など、同様の流れがいまや他にも溢れていることで、なぜいま日産がこっちなのかがどうしても分からないからだ。で、こっち方面をやるんだったらもう徹底的に攻めるしかないんだけど、たとえば、次期デュアリス?なんて言われている、昨年のジュネーブショーに出品されたハイクロスコンセプトみたいな中途半端なことになる危険性もあると。

 アキュラブランドのNSXコンセプトも大いに盛り上がっているけれど、これもカローラ同様何となくカッコいいイメージスケッチそのままな感じで、明確な個性が感じられないのが残念だ。いや、たとえば同じホンダでもEVーSTARの方がよっぽどオリジナリティがあるでしょう。

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 たしかにエアインテークらしき”吹き抜け”は、大きな口を開けていながらキャラクターラインも連続するという巧妙な技を使っているけれど、そういう部分的なところをアテにしてしまうのは危険じゃないかと。

 フィットベースと言われるホンダのアーバンSUVコンセプトも、そのNSXと同じテーマを使っているのが同社らしい。最近のホンダは、同じショーに出すコンセプトカーが、たいてい同一のテーマで意識的にまとめられているのが特徴なんである。

 けれども、リアから流れるそのテーマがコンパクトSUVとして新しい提案になっているかと言えば僕としては?だ。単純に、今回のテーマという話を別にすれば、なぜこういうラインになるのかがサッパリ分からない。フィットベースなら、フィットのシンプルさをもっと生かした方がいいんじゃないのかな?

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 雑誌などで「今回の日本車勢はデザインがいい!」と書かれているのは、まあ決して分からない話じゃない。少なくとも、エクステリアに勢いを感じるコンセプトカーは多いと思うからだ。

 それ自体はもちろん悪いことじゃないけれど、じゃあどれもがいいデザインなのかと言えば、それはあまりに安易な記事(話)だろう。シャープで流麗なラインの「カッコよさそう」なデザインは、社内デザイナーはもとより、デザイナー志望の学生にだって描き易い方向なんである。

 だから本来は、単に「カッコいい」じゃなくて、もうひとつ次元の高いところの話をしなくちゃいけない。プロの評論家が書いている専門雑誌であれば、ね。

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新車心象風景:トヨタ・クラウン

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 クラウンはトヨタの象徴だから、文字どおりいまのトヨタを映しているんだと思う。

 べつに言葉尻をとらえてどうこうってワケじゃないけど、たった2世代前に「ゼロ」にリセットしたばかりだというのに、早くもRe BORNだというのにまず相当無理があるんじゃないかと。

 いや、そうは言っても実際にRe BORNしているんだったらそりゃあ大したもんなんだけど、じゃあ何が生まれ変わったのかと改めて新型を眺めてみても、残念ながらそういうものは見当たらないんである。

 たとえばエンジンの排気量を一部小さくしたり、本格的なHVを設定したりはあるけれど、べつに思い切って1.4リッターとかにしたわけじゃないし、HVはカムリからの流用と、それは特段Re BORNと言えるような話じゃない。

 デザイナーが頑張ったという例の巨大なグリルがそうなのかと言えば、あんな恥ずかしいカタチを顔に貼り付けて生まれ変わりもあったもんじゃないし、社長が「市販する」と公言したショッキング・ピンクのボディに至っては、それこそが「生まれ変わって欲しい」ところだ。

 じゃあ、トヨタが訴えるRe BORNって何なのかと言えば、まあそんなような”空気”のことなんだと思う。

 たとえば、ジャン・レノやたけし、ドラえもんファミリーを使っての一連の広告展開がそうだ。大々的で、何か新しいことが始まりそうな雰囲気に溢れているけれど、べつに具体的なメッセージがあるワケじゃない。

 最近の発表会がまさにその流れだろう。ヴィッツの発表会では、イケメン俳優を連れて来てどうでもいいインタビューを続けたり、パッソでは鳩のお父さんと子役の寸劇を見せたり、およそ大メーカーの公式発表会とは思えない稚拙な進行を見せてくれる。

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 少し前、トヨタのマーケティングを行う関連会社が「女子消費力」をテーマにした本を出したけれど、クルマにおいて女子の感性に期待する僕でさえ、「何をいまさら」な市場調査を綴った内容に一抹の不安を抱えたものだけど、どうもそれが現実になっている、というのが僕の感想だ。

 国際ショーのブースをドラえもんで埋めちゃうのも、発表会で社長が子供っぽいスピーチを繰り返すのも、すべてはこのマーケティング会社と自社広報の頓珍漢な仕掛けが原因なんだろうし、そうやって醸し出される意味不明な元気印の雰囲気が、いまのトヨタそのものを表現していると。

 どんなに「僕が欲しいクルマを作る!」と社長が訴えても、オーリス程度のデザインに満足し、いわんや新しいパッソやヴィッツ、カローラといった壊滅連合を出してしまうのは、つまりその雰囲気に何ら実体がないからなんじゃ?

 ギザギザのグリルはデザイナーのチャレンジだと大いに自慢し、ピンクのボディを発売するのは役員の「変化」だと自信満々にアピールするクラウンは、だからやっぱりいまのトヨタそのものだと僕は思っている。「ゼロ」で見せたクラウンの本気の変化が、今回同じ開発主査でありながら、結局2世代分を足踏みさせてしまったように。

 ただ、それでもその”雰囲気”や”空気”にもっとも弱い日本のユーザーは、それなりの若年層も含んでこの醜い顔を買うんじゃないだろうか。当然、ピンクのボディもあちこちに現れて、ただでさえ壊れている日本の街の風景にトドメを刺すんじゃ?

 結局、おなかしなマーケティングは、もっとおかしな市場で評価され、その点でトヨタは成功するんだろうし、仮に今度はロイヤルもアスリートも中国メインだというのであれば、世界一を奪還したトヨタはもう盤石なんである。

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雑誌記事:XaCAR、2月号発売!

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 『Xa CAR』の2月号が発売になりました。

 前澤義雄氏とのデザイントーク、今回はプジョー・RCZです。

 年末に向けて国産車ではいくつか新車が発表されましたが、本誌はあくまでもスポーツカー、スポーティカーの専門誌として、本ページも独自の選択を続けています。

 自動車雑誌をよくお読みになる方ならご存知だと思いますが、このRCZはもうどこでも大絶賛な感じですね。何かこう、クルマファンなら当然「素晴らしい」と思わなくちゃイケナイようなプレッシャーを感じるほどです。

 こういうのってポルシェもそうですけど、じゃあ、冷静にデザイン評論として見たらどうなのか? それが今回の要かと思います。

 お時間がありましたら、書店にてお求めください。

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新車心象風景:マツダ・アテンザ

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 頑張って欲しいと思えるのは、結局入魂の具合なんだと思う。

 かつての5チャンネル化の失敗を踏まえ、ズーム・ズーム戦略以降は大幅にラインナップを整理し、今回のスカイアクティブ期に入ってからはロータリーのRXも落ちて、ますます集約方向にある。

 ラインナップ数を考えれば贅沢なコンセプトカー群から、各市販車への落とし込みはより明快になり、善し悪し、あるいはメーカー自ら日本市場では数%の支持でOKと公言するように、ある種の好き嫌いを別にすれば、マツダが何をやりたいのかはかなりはっきりとアピールできるようになった。

 実際、この新型アテンザのように、たった1台のクルマにこれだけの時間を掛け、じっくり開発過程を告知する例は他にほとんどないんである。言ってみればトヨタでは86、日産ではGT-Rのような一大キャンペーンが、ごくふつうのセダンで展開されているようなものだ。

 そりゃあ車種が少ないから・・・なんて声もありそうだけど、会社の規模はどこもそれなりに車種数に沿っているんだから、簡単にそうは言い切れないと思う。要はメーカーの商品企画や開発姿勢が、その広報も含めていかにブレていないか、じゃないのか?

 たとえば先のトヨタが次々に送り出す新型車を、大物俳優を使ってドラえもんだのRe BONEなどと騒ぐより、1台のコンセプトカーから1台のセダンを生み出す過程をそのまま見せるだけのマツダの方が、何倍もその真意が伝わるのは多分そういうことなんである。

 さらに、そういう少数精鋭の商品が、それなりの時間を掛けたと言えるだけの品質感を伴っているのがキモだろう。

 だって、少数というなら三菱だってスバルだって同じだけど、新しいミラージュにそんなものはコレっぽちも感じないし、フォレスターにさえアテンザほどの「満を持した感」はないんである。

 新しいアテンザの高評価なクリーン・ディーゼルや流麗なデザインは、だからフル・スカイアクティブや”魂動デザイン”という、各々の要素だけで語ることは難しいと僕は思っている。フェンダーから伸びるキャラクターラインの是非が、即このクルマの是非にはならないと。

 しっかりとした基礎技術をブレのない商品企画で、かつじっくり時間を掛けて作れば、少なくともこのくらいのクルマは出来上がるんだという、そこがいちいばんの評価点なんじゃないか? 本来、どのメーカーのどのクルマもこうあるべきだろうという点で、僕は新しいアテンザを支持したい。

 もちろん、現行プレマシーのような残念なモデルチェンジや、少々わかりにくいOEMの軽商品など、まだ整理が必要な余地はあるし、アルファとの提携に踏み切った高コスト体質みたいな話もあるけれど、まあ、それはまた別の話として。

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新車心象風景:日産・シルフィ

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 どういう商品企画なのか、と思うんである。

 まず思うのは、日産のラインナップの一貫性のなさだ。

 シルフィは、サイズこそ若干大きくなったものの、このモデルチェンジに大きな違和感を持つことはない。ほどよいサイズにクリーンなフォルム、合理的なパッケージングに、高級ではないけれど丁寧で良心的なインテリア。玄人受けしたといわれる先代のそうした成り立ちは、多少の雰囲気の違いはあれ、ほぼ引き継がれたと思う。

 一方で、たとえばほぼ同時期に出たラティオは、前回ここで書いたように壊滅的な安っぽさに溢れ、いくら顔を似せたからと言っても、同じセダンとしての弟分というよりは、コストダウンに邁進したマーチやノートのチームに属した格好だ。

 この線引きが、同じメーカーの商品展開としてスゴイなあと。

 同様に世界戦略車として開発された商品であっても、軸足となる国や想定顧客層によって作り込みに大きな差が出る。中国市場の他、北米でセントラの新型となるシルフィが、ラティオと違ってそれ相応の作りになるには理由があると。

 けれども、それやこれをそのまま日本に持ってくれば、同じメーカーのラインナップなのに、各々の商品性がまったく違ってしまう。これは、たとえば自国と欧州メインのマツダが、デミオ、アクセラ、アテンザと、一貫した商品作りをしているのと対照的なんである。

 そしてもうひとつ、最新の日本車の商品企画としてどうなんだ、という話がある。

 先のように、ミドルセダンとしてはそつなく作ってあるけれど、じゃあそこに2012年のクルマとしての商品性がどれだけあるかというと、これが結構寂しい感じだ。

 それがクリーンディーゼルやHVのような動力源であれ、自動ブレーキや全車フルエアバッグなどの安全装備であれ、あるいは図抜けた走行性能であれ、まあ何だっていいとは思うんだけれど、これが最新の商品ですというメッセージがどうも見当たらない。ただでさえセダン不況の日本市場で、これは一体どういう商品企画だったんだろうかと。

 もちろん、あれこれテンコ盛りしてないといけない、なんて話じゃない。けれども、やっぱりいま世に送り出すクルマとして、開発者の「コレだ」という提案は見せて欲しい。単に、内装の素材がちょっと新しいとかじゃなくて。

 いや、実際このクルマについて経済方面のニュースと来たら、「あのブルーバードの名称が消えた」というのがほとんどで、クルマ自体の話はほとんど出てこなかった。そりゃあ、あんまりだと思う反面、まあそうだろうなともなる。

 さて、先の一貫性の話に戻れば、いま日産のラインナップを改めて見ると、本当にスカスカな感じに溢れている。こう、インフィニティとしての上級車種と、新興国を想定したお安いコンパクト群に大きく分かれていて、いずれも日本市場へ根付いた感に乏しい。

 現実に売れているSC搭載のノート、HVを追加したセレナ、デザインで引きつけるジューク。こんなにも多くの車種がある中で、これは売れるだろうと直感できる商品企画はそんなものだ。以前、ここでは打率が低いと書いたことがあるけれど、これだけのラインナップを揃えながら、月1000台売れるか売れないかのクルマが多すぎる。

 まあ、何度も言っているけれど、すでに日本市場を半ば捨てている、あるいはメインの市場じゃないと認識しているのでれば、これはもう仕方がない。寄せ集めでも「あるだけマシと思え」と言われればそれまでだ。

 もちろん、技術の日産として多くのファンを生み出した古きよき時代にしろ、あるいはV字回復時に見せた原石のような輝きにしろ、メーカー自らが自社の功績を放棄するようなことをするのは、なかなか度胸があるとは思うけれど。

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クルマの他:年末コンサート通い

2012

 みなさま、あけましておめでとうございます。今年も、本ブログをよろしくお願いいたします。

 で、お正月だし、のんびりと「クルマの他」から始めます。

 もう年末の話になりましたが、恒例の12月コンサート3連戦?に行ってきました。

 まずはNHKホール、矢野顕子「さとがえるコンサート」。今年のゲストは何と清水ミチコ! 昨年は上原ひろみだったし、例年ニューヨークの一流ミュージシャンとの競演が多いこのコンサートに清水ミチコ!

 たしかに彼女がアッコちゃんの絶大なファンであるのは知っていましたが、しかしコンサートとして成立するのか?

 が、そもそも渋谷のジャンジャンで、あの永六輔に見い出された清水氏の芸は並のものではありません。しかも、アッコちゃんに関しては、十代の頃からモノマネじゃなく、ピアノ込みで「コピー」していたという実績があります。まあ、ライブというよりはショーとしてですが、目の肥えた観客を満足させるものになっていました。

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 アンコールは、生前のキヨシローとデュエットした「ひとつだけ」を、今度はモノマネでデュエットしたのは感動的でしたね。

 続いてオーチャードホールの渡辺貞夫「グリスマス・ギフト」。もう20周年になる今年は、久々にベースのリチャード・ボナを招いてのアフリカン・ナイトです。

 ヴォーカリストとしても活躍するボナは、相変わらず圧巻でした。ふつうにリズムを弾きつつ、実質ソロになっているのがスゴイ。もう自由自在。この日のリズムセクションはとんでもなく鉄壁でしたし、貞夫さんも最近ではいちばん鳴っていたように思えました。

 三つ目はスイートベイジル、国府弘子「ひろこ倶楽部」。15周年の今回は前半がオリジナルトリオで、後半はゲストを招いてのセッションです。

 個人的には超技巧派ドラマーの立飛さんが注目で、今回もメリハリの効いた素晴らしいプレイを聴かせてくれました。国府さんも今回のピアノはより乗っていましたね。彼女のピアノは本当に元気が出ます。

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 この3連戦の合間、家人関係で東京交響の「第九」がサントリーホールであったので、実際は4連戦でしたが、まあそれはともかく、これで年末も無事コンサート締めができました。

 クルマも楽しいですが、音楽は聴いても演奏しても本当に素晴らしいです。

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