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クルマ散策:マツダ・ミュージアム見学

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 サラリーマンの仕事で広島出張があったので、サクッとマツダミュージアムを見学をしてきた。

 以前、そのサラリーマンの仕事でデザイン部門に伺ったことがあるので、今回は2回目の本社訪問。見学が1日2回限定、かつ予約制というのが?だったけど、なるほど本社工場敷地内に施設があるんじゃ、勝手に見学、とはいかないものね。

 で、早速最初のブースは、現行車と過去のイヤー・カーを並べるというちょっと不思議な空間。受賞車とは、あの赤いFFファミリアにアラン・ドロンのカペラ、そして初代ロードスターの3台だ。

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 個人的には、もしかして外注?と思えるグッドスタイリングのFFカペラが好きなので、ピカピカの展示車にもう夢中な感じで。前々回の寂しい東京モーターショーにも並んでいたけど、もしかして同じ固体かな?

 定員制の見学者は幅広い年齢層で、僕と同じかそれより上の世代はこのファミリアやカペラ、若い人たちは現行車に興味津々という図がなかなか面白かった。

 そういうことで、自分としては続くヒストリックカーブーズもお楽しみだったんだけど、残念ながらイマイチだった。もちろん、オート三輪からAZ-1までの展示は幅広いものだし、R360クーペや初代キャロルは素晴らしいコンディションだったけれど、思っていたよりも展示台数が少なかったので。

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 いや、せっかく本社敷地内なんだし、100%でなくても”ほぼ網羅”まで頑張って欲しかったかなと。あの5チャンネル展開の頃のレア車とかね。

 その他ではルマン優勝車や、歴代ロータリーエンジンの展示がお約束といったところ。スバル同様、独自のエンジンを持つメーカーならではの見せどころだ。

 未来ブースは近作コンセプトカーの展示だけど、ここもやっぱり台数が少ないし、ちょっと選択が地味だったかな。ここ数年のモーターショーにシリーズで出品している、デザインコンセプトカーをもっと見せればいいのにね。

 で、このミュージアムのいちばんの特徴が実際のラインの見学。ま、これこそ工場敷地内に作った醍醐味なんだろうし、実際、非常に合理化された組立手順を直に見るのは、いい歳した大人でも素直に感銘するところだ。

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 見学は女性スタッフが引率し、完全に頭に入った台本を澱みなくアナウンスするんだけど、それこそベルトコンベアー式にどんどん進んでしまうので、たとえば質問をするような余裕がないのは少々残念だ。最近は自由見学も条件付きであるらしいけど、ホントにマツダ車が好きな人はもっとじっくり観たいんじゃないかな。

 そうそう、本社ビルの近くに「マツダ病院」があるのは知ってたんだけど、その隣に「ズーム・ズーム薬局」を見つけたのは、帰り道の意外な収穫だったかな。

 国内生産率の高さが超円高に耐えきれず、増資して本格的な海外生産移行に踏み出すことを表明したマツダ。ミュージアムはもとより、港に面した広大な本社工場の稼働率はこれからどうなるんだろう。

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 それはやっぱり新しい提携話なんかを予感させるなあ、なんてことを考えながらの見学だったんである。

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クルマ散策:「間違いだらけ」は健在だけど

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 昨年度に再開された「間違えだらけのクルマ選び」が、同じく島下氏との共著というかたちで発刊された。

 前回同様、ほとんどの内容には賛同なんだけど、ちょっとだけ違和感が残るところもあったんである。

 それは、ようやく日本車復活の兆しが見え始めたゾという話で、マツダのスカイアクティブやミライースなどの低燃費技術、86やLFAといったスポーツカーの登場、そしてEVによるスマートグリッド展開、といった話だ。

 低燃費技術について、本書では欧州で進むダウンサイジングに並ぶものとして書かれているのだけど、NAエンジンにアイドリングストップ、燃料タンクの小型化など一部の機能を省いてまでの軽量化、高圧の低燃費タイヤを組み合わせたそれは、いわゆるダウンサイジングと比べられるものじゃないと僕は思う。

 たとえばポロのTSIは、小排気量による燃費の向上と同時に、反面低下してしまう出力をターボで賄っている。しかもそのトルクバンドが広いので、3・4名乗車や長い登り坂、高速巡航など、日常での守備範囲もまたとても広い。

 スカイアクティブはクルマ作り全体ということだし、エンジンの高効率化自体は、たとえばその後のHV化などを考えれば歓迎すべき技術だけど、少なくとも現状では「何がなんでもリッター30キロ」という燃費至上主義で、本当の使い勝手や安全性がどうも後回しになっているんじゃないかと。

 これは、間もなく復活するミラージュも同様だし、スーパーチャージャーでダウンサイジングに同調しようというマーチについては、そもそもクルマ自体が安普請という残念さだ。

 そしてEVの話。一家に1台が基本の日本のクルマ環境にEVはまだそぐわないというのは、これまでここで書いてきたとおりだ。じゃあ、災害時や再生エネルギーを想定したスマートグリットならいいのかというと、やっぱりどうもピンと来ない。

 ブログがすでに古いメディアに思えたり、スマホやタブレットは当たり前というような新しモノ好きの日本人だけど、今回の東京モーターショーも含めて、スマートグリットもまたそんな勢いだ。

 たしかに、東北の震災では一部のEVが大容量バッテリーの役割を果たした場面があったと聞くし、自家発電とEVを循環させるという発想は面白いとは思う。

 けれども、だからEVで先行する日本のクルマ事情が明るいっていうのは、何か違うんじゃないか?

 それは、先のようにEVそのものがまだ実用に適していないという面もあるし、災害時の想定なんかについては、それこそ全戸で購入可能な「家電」として大型バッテリーを開発・販売した方がよっぽど普及するんじゃないかと。もちろん、それに加えてたまたまEVもあった、という話はアリなんだとは思うけれど。

 EVは、超小型車としてシティコミューターや高齢者用の車両などに大きな可能性があるとは思う。個人的には現行軽自動車規格の見直しと絡め、現在各自治体で行われているような実証実験は大いに支持したい。

 ただ、それは元気のない日本車が復活する予兆とは、また別の話だと思うんである。

 じゃあ、どうすりゃ日本車が元気になるんだっていうのは、何をもって「元気」とするのかによるので結構難しい。そもそも、年間400万台も売れているんだから、考えようによってはいまでもしっかり「元気」と言ってもいいわけでしょ。

 しかも、そのうち輸入車はわずか数%のシェアと相変わらず国産車天国だし、VWのUP!みたいなクルマが世界を席巻しようとする時期に、旧態依然の軽自動車にすがりついてガンガン売っているのであれば、まあそれはそれでいいんじゃない?とも。

 いや、一部のHVや軽、ミニバンばかり売れる日本は偏っていてやっぱり元気がない、というのであれば、これはもう端的に言って「ちゃんとした」商品をしっかり作ることしかないと思う。

 先のスカイアクティブはひとつのいい例で、いまは「HVじゃないのにリッター30キロ」みたいな話を前面に出してしまっているけど、全車のクルマ作りを基本から一新するというのであれば、これは遠回りのようで、実は元気回復への近道じゃないのかと。

 たとえば、セダンが北米で、コンパクトが欧州で絶好調の現代・起亜グループを見ればわかるけれど、特段最新技術だけをウリにするのではなく、的確な市場調査、しっかりとした品質管理、先進的なスタイリング、無駄のないラインナップ、巧妙な販売戦略とサービスと、ごく当たり前のことを行っているだけとも言える。

 そうして海外市場では着実に日本車を凌駕しつつあるわけで、それを危機とするなら、日本の高い技術力を使って愚直に「いいクルマ」を作るしかないでしょう。

 そんなことを考えていると、本書の”日本車復活の予感”にはどうしても違和感を持ってしまうんである。

 あ、そうそう。もうひとつのスポーツカーの登場については、86の話を前回にしたのでここでは割愛します。

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新車心象風景:トヨタ・86(発表)

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 まさか、ホントにここまでやるとは思わなかったんである。

 すでに大きく露出していたクルマ自体はともかく、7つの販売展開企画がスゴイことになっている。

 「エリア86」なんて昔のマンガみたいな名前の子供じみた店舗、恐ろしいほどセンスの悪い「86コラボレーショングッズ」、おすすめの峠道を探すというイニシャルDな「86峠セレクション」、自分のコーナリングを記録するという意味不明な「86シューティングカーブ」、その他SNSやゲームとリンクするという安易な手法等々。

 こんなことをレーシングスーツを着た社長が発表会で紹介するなんて、恥ずかしいを通り越してもはや怖い。

 そもそも、カスタマイズなんてものは、車種を問わずユーザーが好き勝手にやるものであって、メーカーがそれ専用の商品を用意するもんじゃない。

 しかも、そのカスタマイズが、たとえばエンジンやミッションの仕様などのハード面、あるいはシートなどインテリアパーツや内外装のカラーなど、およそメーカーでしかあり得ない「フルチョイスシステム」の構築なんてことならまだ理解できる。

 ところが、その発想がAE86でDなユーザーが施した豆腐屋仕様の次元というのは一体どういうことなんだろう?

 エリア86は「スポーツカー好きな大人のたまり場」だそうだから、例の若者のクルマ離れくい止め云々という話じゃないみたいだけど、しかしそれはどこのどんな大人なのか? 仮にドリキン命みたいな40、50代がそこそこ集まったとして、それが何だというのか?

 ここまで来ると、もう僕の興味はべつのところに移ってしまう。

 まず、スバルはBRZの販売展開に関して独自性を打ち出すのか否か。つまり、中途半端にトヨタと似たようなことを行うのか、あるいはクルマの性格すら別に思えるような企画を打ち出すのか? 黒木メイサがイメージだそうなので、すでに若干の不安はあるけれど。

 それともうひとつ、今後販売される雑誌メディアで、このバカげた販売企画がどんな風に紹介されるか、だ。

 「トヨタが変わった!」なんて全面肯定記事で溢れるのか、それとも「トンチンカン、ここに極まる」という一歩引いた視点での記事も少なくないのか? そのメディアの品位も含め、ちょっと見ものかもしれない。

 あ、クルマ自体の話をしていなかったけれど、もしいま実質2名乗りハッチを出すんだったら、2000GTのモチーフを中途半端に盛り込んだ2リッタースポーツじゃなくて、どちらかと言えばトヨタ800を手本にすればよかったんじゃないかと僕は思う。

 4メートルを切る美しいコンパクトボディに、VWやフォードあたりが始めようという1リッター前後のターボエンジン、あるいはアクアのHVシステムなんかを積めば、実用性能と高燃費を備えた新時代のスポーティカーにもなり得る気がして。

 その魅力的なコンパクトハッチがアクアと同じく160万円あたりなら、国内はもちろん、欧州でも、ルノーのウインドあたりと張り合って面白いことになったんじゃないかな?

 え、水平対向エンジン? どーしてもクーペが必要ならインプレッサベースでできる範囲でいいと思うし、それよりもボクサーHVなど独自の燃費向上技術を急いで、そのうえでオリジナルのクーペなりコンパクトカーを作る方がいいんじゃないの?

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新車心象風景:レクサス・GS

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 結局、何だかんだ言って、GSって何?という話なのかと思う。

 高級車としての歴史が浅いとされるレクサスだけど、それでも初代アリストからカウントすば、GSだってもう4代目になる。これはライバルとされるBMWの5シリーズなら96年のE39に当たるわけで、そう考えると簡単に浅いと言っている場合じゃない。

 けれども、現実の新型GSを前にしてその手の歴史を感じるかと言えば、やっぱりそれはないんである。

 冷静にサイドから眺めれば、強いアーチを描くルーフによるビッグキャビンや、あるいはフロントホイールアーチから始まる豊かなショルダーラインはたしかにGSの文法で、スポーティセダンの要素を継承しているのがわかる。

 ただ、LSを思わせるトランクやマークXみたいなリア回りはその文法を曖昧にしているし、どこかクラシカルなインテリアは、善し悪しは別として、やはりGSのイメージを迷わせる。そして、決定的なのは今回のハイライトである「スピンドルグリル」だろう。

 まず、その造形自体が妙だ。確かに円錐を思わせる形ではあるけれど、もともとメーカーを問わずフロントグリルには逆台形が多いし、そこに最近主流の「ハの字」状のアンダーバンパーを組み合わせればほぼ自動的にこのカタチになる。

 たとえばメルセデスなんかもそうだけど、意図的かどうかはともかく、レクサス自体、CTがすでにスピンドルになっているんである。それをことさら誇張させて見せる発想が、いまひとつ僕には理解できない。

 そして、このグリルを「ウリ」にしてしまう広報戦略も疑問だ。

 TVCFではグリル枠を光らせて「どうだ!」って感じだけど、いくらクルマにとってグリル=顔が重要であるとしても、やっぱりそれはクルマの一部分に過ぎないんである。

 だから、こいつを推すあまり、先代を継承したボディが霞んでしまようならまさに本末転倒でしょう。しかも、このグリルが今後レクサス全車に採用されるなら、なおさらGSの特徴じゃなくなるわけだし。

 先のBMWなど、欧州勢のようにファミリーフェイスを持たせるという発想や、アウディが先行し、その欧州ですっかり定着したシングルフレームグリルをレクサス流に取り入れたい、といった企画はすんなり理解できる。

 けれども、それはあくまで基本となる魅力的で独自性のあるボディと一体として考え、語られるべきものであって、グリルがひとり歩きするような次元ではイケナイ。

 レクサス、あるいはGSって何? と聞かれて「スピンドルグリルだよ」じゃ、あまりにお寒い話じゃないか。

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