« 雑誌記事:デザイナーズ・インタビュー(その7) | トップページ | クルマの他:年末恒例コンサート・三連発! »

新車心象風景:ホンダ・N BOX

N

 Nボックスは「試験紙」みたいだと思う。

 まあ、これは誰でもわかるとおり、タントやパレットの二番、三番煎じだ。けれども、この完全な後出しジャンケンを肯定したい理屈が用意されていて、それがこのクルマの特徴にもなっている。

 まず、より長いホイールベースや自慢のセンタータンクレイアウトを採用し、室内の長さも高さも、クラスでいちばんの室内空間を実現した、というもの。これがMM思想のホンダとして「日本のベストな乗り物を作った」ところらしい。

 とはいっても、いきなりライバルの1.5倍も2倍も広いわけじゃないし、両側ピラーレスなんて飛び道具があるわけでもない。比べてみればこっちの方が広いですヨ、といった程度だ。

 ストロークを延ばして実用域を重視したという新開発のエンジンや、あるいはアイドリングストップも、ライバルはもちろん、現行軽規格すらひっくり返すような新提案じゃない。

 さらに、ノーマルだカスタムだという設定はもはや使い古されたやり方で、たとえばターボはカスタムだけなんてあたりも、実に硬直した発想のままなんである。

 加えて言えば、そのスタイリングはビッグチェンジしたライフと変わらないもので、ノーマルでさえ威圧的で品がないし、カスタムに至っては醜悪としか表現のしようがない。

 けれども、当のホンダとしては、さらなる”理屈”として、かつての名車から「N」の名前を拝借し、このクルマをスタートに「ホンダの軽が変わる」とも宣言した。そこには、最近の販売不振という背景がハッキリ見えるわけだけど、Nexだ、Newだと鼻息が荒い。

 そして、この後は文字通りN360のリバイバル版や、ビートの後継も・・・なんていうシリーズの期待感をモーターショーで抱かせ、自らその特別感を盛り立てる。

 で、Nボックスの何が「試験紙」かと言えば、実はほとんどライバルの後追いであるこの商品が、メーカーのこうした言い分によって、一躍ヒット作になり得るのか?ってところだ。

 つまり、試験紙として試されるのは僕らユーザーということで、仮にこれがドンと一発大当たりとなると、コピー商品であれ何であれ、少々目先を変えれば、ユーザーを引き込むなんてメーカーにとっては結構チョロいもんだよなあ、ということなんである。

 もちろん、Nボックス自体がそれなりに便利なクルマであるとしても、ね。

|

« 雑誌記事:デザイナーズ・インタビュー(その7) | トップページ | クルマの他:年末恒例コンサート・三連発! »

「新車心象風景」カテゴリの記事

コメント

ノーマルタイプはそんなに悪く無いかな~と思っています。ただし、カラーの魅力がなくて地味ですね。以前のホンダなら明るいイエローやブルーも用意されていたと思うのですが。インパネは最近のミニバン系ホンダ車そのもので、ごちゃごちゃしていて魅力がありません。初代ステップバンにようにとは言いませんが、もっとシンプルに、センスよくならないものでしょうか。
カスタムについては「ユーザーがこういうの望むんだからしょうがないだろ!」というデザイナーの悲鳴が聞こえてきそうです。でも昔からホンダはそうしたドメスティックな価値観を覆す挑戦者ではなかったでしょうか。
あと、ホンダだけではないですが無意味に後席位置を下げて室内空間を広く見せる手法はどうなんでしょうか。後面衝突にも弱いですし、前席との距離が広くなり過ぎてコミュニケーションも取りにくい。「乗員全員楽しめる適切な距離」を提案する企業はないんでしょうか。フィアット500なんかは狭いですけれど「幸せな空間」になっていると思うのです。

投稿: ネコ | 2011年12月25日 (日) 11時52分

東京モーターショウで提示したものは、おそらく来年以降なんでしょう。
N-BOXのデザインは、未だ最近のアシモ…じゃなかった悪しきデザインの引きずりということで。
軽の規格をひっくりかえされても、使う側にとっては税制の面、サイズの面でこれはこれで大変困りものですが、まぁそろそろ軽という規格の中で使い方、あり方の変わったものを商品として見せてほしいですね。そういう意味では、EV化ってのは根本的にパッケージを変えられるので、ホントに軽を変えたいのならEV化しかないでしょ。あとエンジンで変えるのなら3気筒じゃなく、2気筒でハイブリッドかレジンエクステンダーのEVか…
まぁそこまで突き詰めて出す商品よりは、急場しのぎ見え見えなので、なんとも苦しいものがありますね。
震災で日本はもとより、タイでも散々な目に逢ったホンダですが、それでもちゃんと新車を出してくるところは、今年の新車がすべてOEMだけだった日産よりマトモですね。

投稿: アクシオム | 2011年12月26日 (月) 18時50分

**長所**
☆軽のプレミアム・モデル?質感高いです。特にインパネ回りの出来はコンパクト・カーを凌ぐかも
☆VSAを全車で標準装備しているのはホンダの良心?背高ノッポで車幅のないこの手のクルマにとっての本装備は非常に有用かと_。ホンダでも全グレードに標準装備のクルマってレジェンドくらいですか?
☆後席シートの足元の広さは言葉を失うほど_
☆ライバル車を研究し尽くした装備等々。
☆リアシートの背当ても平板ではなくホールドしてくれる形状になっている。
☆フィットにも通じるシートアレンジ。
**短所**
★他社のビッグ・キャビンを売りにしているモデルと同じ発想から抜け出せずにいる。
★荷室の面と後席を畳んだときに段差が出来てしまう。
★用品でカバーするしかないのかも知れないが、前席の直近までフラットな床面を実現出来たなら車中泊なども可能になるかと思う。それは1ボックス・ワゴン(バモスとか)の領域?
★アイドリング・ストップの再始動時のショックは大きめ?

↑先々週でしたか、N-BOXを試乗させてもらった後の印象を某サイトのユーザーレポートに投稿した長&短所なんですね。
むりやり重箱の隅をつついて見つけるみたいな書き方はいかにもド・素人なんですが、やはり“ホンダにしちゃあ、あまりに芸がないなあ~。スズキやダイハツと同じ発想だもんな―。走行安定装置(ESPでしたか?)を全車に標準装備したことは評価できるけれど、その他の何かあるだろか・・・”それが素直な印象でした。

スズキやダイハツから、積極的にN-BOXに乗り換えたいと思わせる“何か”は見つけられなかったような気がしました。

投稿: イニシャルN子. | 2011年12月27日 (火) 15時30分

ネコさん

ノーマルは、見ようによってはステップワゴンの縮小版に見えなくはないですね。ただし、バンパーなどの各要素が強すぎてキツイんですよ。
カスタムの需要は多いようですが、それにそのまま応えるなら「新しい乗り物」じゃないですよね。そこが?なんです。

アクシオムさん

超小型モビリティの規格設定によっては、現行軽規格の見直しの可能性がある、というのが自分の考えです。スズキのコンセプトカーじゃないですけど、もういい加減現実的な規格を打ち出すべきです。
そういう意味も含めて、急場しのぎ・・・はまったくそのとおりですね。

イニシャルN子さん

ESPは、いまのところ同機能がアイドリングストップ機能に付随することで「標準装備」を謳っているのがほとんどですね。安全を考えての積極的装備じゃないのは、ヴィッツなんかを見るとそうとしか思えないところです。
あと、リアシートをバックドアまで下げて「広い!」っていう売り文句は最近の軽に多いんですけど、それってどうなんでしょう?

投稿: すぎもとたかよし | 2011年12月28日 (水) 07時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/97786/43501687

この記事へのトラックバック一覧です: 新車心象風景:ホンダ・N BOX:

« 雑誌記事:デザイナーズ・インタビュー(その7) | トップページ | クルマの他:年末恒例コンサート・三連発! »