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新車心象風景:ダイハツ:ミラ・イース

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 経済車などと言われながら、リッターカークラスに劣る燃費がごく普通の軽自動車が、マツダのスカイアクティブを2リッター上回ったからといって、これを第3のエコカーなどとは思えない。

 もちろん、軽量化も含めた技術的な取り組みは大いに評価されるべきだけど、肝心の排気量規格に手をつけないうちは、早々革新っぽいような表現は違うだろ、というのが僕の考えなので。

 それよりもイースの商品力、なんである。

 その第3のエコカーというコピーのもと、低燃費とともに何と安さの追求をカタログで大きく謳うイースは、それを軽の原点回帰とも言うけれど、果たしていま最先端の軽の姿がこれなんだろうか?

 僕は違うと思う。

 有り体に言って、カタログに「ネジ1本から安く買える方法を探しました」なんてことを書くほど、なぜ激安じゃないといけないのかがわからないし、しかも、その安い商品の作り方もまた?だ。

 たとえば、イースの前身とも言われるエッセもまた簡素でお安くというクルマだったけれど、最初からシンプルさを狙ったカジュアルな内外装は、その”割り切り”がちゃんと魅力になって、ある種の商品性を持ち得ていた。

 けれども、イースは上級車を無理に再現しようとする例のパターンで、これが実に貧乏くさい。たとえば、2色のインパネ素材を一体成形する自慢の新技術なんかがいい例だけど、所詮”元”を越えられない方向の努力は実に虚しく、そもそも最初からそっちを目指すこと自体が間違っていると僕は思う。

 エクステリアにしたって、フィアット・プントを縮めたような基本フォルムこそバランスがいいけれど、コスト故か、緊張感のない面とキレのない曖昧なラインで、イメージスケッチにある意図が台無しな感じだ。

 で、50年もミニカーを作り続けてきて、ある意味社運をかけた新しいクルマが、なんで「安売り」ベースなんだろうか。平たい話、半世紀もの時間があって、何で軽の基準を「UP!」にできなかったんだろう?

 いや、だってダイハツにはコペンという実績があるんである。売れるだけ赤字なんてウワサも、まあそれは数が出ない2ドアオープンのみっていう理由もあるんだろうし、仮にあの次元の考え方を全車に導入したら、量産効果を含めて、ダイハツ車の商品性はまったく別のレベルに到達していたかも、でしょ。

 もちろん、それは80万円ではできないけれど、もしかしたら120万円なら可能だったかもしれない。実際、先のUP!は自国で100万円程度からっていう話もあるしね。

 冗談じゃない、この不況に激安は必須、安さこそ正義だ! という話であれば、それはそれで「安いけれど魅力的」と思える工夫をするべきでしょう。それは先のエッセ方向にするのも手だけれど、廉価グレードのあり方自体を再検討するのでもいいかと。

 いや、たとえば軽はユニクロ的でいいんだというなら、ぶっちゃけユニクロ・ヴァージョンを作っちゃえばいい。それは特段イースに限定せず、ダイハツ全車に展開するような発想でもいい。ユニクロ商品とのコラボをはじめ、低価格ながらも独自の商品力を持たせるという発想で、安いけれど「これでいい」じゃなくて「これがいい」という企画だ。

 ま、ユニクロはあくまで仮の話だけど、つまりは単なる上級車からの「引き算」ではなくて、知恵とセンスを結集して安いクルマを考えるのもひとつの方法ということかと。

 規格変更を横に置いておけば、低燃費という機能の向上はもちろん歓迎だ。けれども、1台のクルマとして商品力向上の本格的な改革がなく、単に軽は廉価で安普請が原点だなどということを、いまこの時代に訴えるのは”後退”以外の何ものでもないと僕は思う。

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新車心象風景」カテゴリの記事

コメント

通りすがりの者さん

あれだけ明快な方向性を出していたんですから、ほぼそのまま出る
と思いますよね、普通。まあ、ダイハツも特別体制で変更に望んだそ
うですけど。
ユーザーがナメられているのはイースだけじゃないですけど、結局こ
うやってヒットするわけですから、完全に見識眼のなさを見抜かれて
いるんですね、僕らは。

ぷじおさん

安けりゃいいじゃんという雰囲気の日本で、こういう商品企画をする
のは、ある意味とても正直というか、サラリーマンっぽい仕事ぶりで
すね。メディア、とくに大手マスコミの問題は、いまの日本でもっとも
深刻なテーマだと思いますね。

knockさん

あのデッキすごいですね。というか、スイッチパネルにアルミ風?の
シートを貼り付けただけですから、果たしてあれをデッキと呼べるの
かどうか? ここまでやると笑うしかないです。

優路さん

そのイース、トヨタは売るみたいですよ。もうワケ分かりませんが・・・。
運転が苦痛なのはまったくその通りですね。ほんとここ2、3年はとく
に酷くなってきました。マナーも悪いけど、同じくらい技術も低い。その
両方で路上はあふれている感じです。

アクシオムさん

ミラにしたのは、ベースのムーヴ名にすると「高い」イメージになっちゃ
うから、と聞きました。販売上のお話ですね。
CMは発売前の3丁目の夕日みたいなシリーズから、なんでブルース
になっちゃったんでしょうね。今後の展開もあるってことなのかな?

投稿: すぎもとたかよし | 2011年10月22日 (土) 08時45分

イースってミラ?あのコンセプトカーesは名前だけだった。これこそ、換骨堕胎ってやつか?VWのUP!くらい単純明快で、ディテールだけしっかり処理してあげたデザインの方がよりコストも削減できただろうに。
でもダイハツがUP!みたいなデザインやっても売れないんでしょうね。それがわかっているからこうなったのがイースじゃないのかな。どうせ海外に出すもんじゃないし。
あと、「ダイマツ ミラ ウース」なんて言わせるためにブルースウィリスなんて呼ぶギャラがあったら、宣伝なんて打たないで、おばはんの口コミでせこく売った方がもっと節約できたんじゃないの?

投稿: アクシオム | 2011年10月10日 (月) 19時21分

イース! これいーっす! と言ってもらいたいのかなあ。ネーミングには星三つ。 
肝心の中身だが、興味がない。だから「無視」。
日本で一番安い自動車、エッセ。この車には近づかなかった。運転マナー悪いもん。
イースにも近づきたくないな。買わないし関係ない。関係持ちたくない。
ある意味、ベンツと対極にある「近づきたくない車」。

なぜこんな車をつくって売るのか。ダイハツだから。
トヨタが軽売る時代、ダイハツが何を売るか。売るのが許されるか。
結局、特殊な、トヨタが売らないような軽しかないよね。これが結論。終わり。

このごろ、運転していて楽しいことがない。マナーが悪い運転者が多いから。
赤信号でずるずる前に進む。右折のサインが出ても直進車が突っ込んでくる。
右折のサインでどさくさにまぎれて左折する車もいる。
理由は、少年少女時代に自転車で傍若無人に走っていた連中がバイクや車に移行したから、と勝手に想像している。
そのうちイタリアのように、歩道を車が走ってたりするかも。最近の新設される歩道は広いからね。貧すれば鈍する。貧すれば品なくす。
(注意すべきマナー悪い車として)1姫(女性運転者)2トラ(飲酒運転)3ダンプ、といわれていたころがなつかしい。1軽2ベンツ3その他全部、って感じ。


投稿: 優 路 | 2011年10月10日 (月) 05時40分

走っている姿を見ても確かに味気ない雰囲気ですけど、
低燃費化技術が今後のラインナップに活かされるらしいですからイースは序章ということで..。
個人的に気になるのが実物は確認していませんが標準のCDデッキです。
あのタッチパネル風、使っているうちにスイッチが早々にイカレてしまいそうな気が。

投稿: knock | 2011年10月10日 (月) 00時25分

ハッキリ言って「ガッカリ」それしか言葉が見つかりません。

すぎもとさんの言うように、エッセの方が、作った側の意思がわかるんですよ。それで、商品として成り立っていて、気持ちいい。

エッセの進化(深化)ができたはずなのに… 何か得体の知れないモノになっちゃいましたね。 トヨタがこういうヒドイというか、誰に買って欲しいのかわからない車を出すのは最近では当たり前になった感がありますが、今、日本車全体がこんな感じです。

もう、クルマが嫌いで嫌いでイヤイヤ作っているのかと。 こちらも流石に疲れてきました。 そういえば、「プリウスα」のデザインは好きかも!って以前書きましたが、撤回します。 どこにも水平が無く、酔ってしまいそうなウネウネ感が実写では見るに耐えないです。 「フィット・シャトル」はあまり印象は変わらないですが、ト~ヨ~タ~  スゴイデス。

そして、日本車がつまらないのをいいことに!?暫く、「クルマ」「エネルギー」「既得権」「マスコミ」のことなどつらつら考えていました。 なかなか、お互い、くっついている関係なのですが、どこで間違ったのだろう?なんて、くだらないことを考える時間が自分には必要でしたので。

投稿: ぷじお | 2011年10月 9日 (日) 01時42分

前回の東京モーターショーで一番気に入ったのがイースだったんですよね。
あのコンセプトカーは素人目で見ても明らかに「実用化前提」のものでした。
コンセプトカーは3ドアでしたから、5ドアに変更されるのは理解できました。

しかし、この車は何なんでしょう。ダイハツにはコンセプトカーを見てもわかるように
デザイン力もあり、実行力もあるのです。しかし、あえて「ダサいデザイン」を
選択しているのです。端的にいって「消費者がなめられている」のです。
「安くて燃費良けりゃ何でも買うんでしょ」と。

私は安くて機能的だからといって、ジャージを着て街中に出かけたりしません。
イースはジャージなのです。
私なら、ほぼ同額で買えるアルトを選びます。アルトには少なくとも買った人を楽しませよう
という作り手の思いやりがあります。

ダイハツは悪い意味の「トヨタ病」におかされてるとしか思えません。

投稿: 通りすがりの者 | 2011年10月 8日 (土) 23時08分

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