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クルマ散策:フランクフルトショー雑感(イタリア編)

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 信頼性が高く使い勝手のいい2代目のパンダがふつうにヒットしたのは、イタリア人にとってこのクルマが道具そのものだから、らしい。日本で傑作と言われようと、自国で初代の残存数が非常に少ないのは、もしかしたらそのためなのかも。

 それにしたってこの3代目は酷い。パンダらしくないという2代目だって、ベルトーネによるトールスタイルは、そういう目で見なければなかなかまとまりがよかった。けれども、これはどんな目で見てもイケナイ。

 500は例外として、最近のフィアット社内デザインのユルユルな面処理が全開な感じで、どうにもつかみどころがないんである。このところ内外装の質感を上げるコツは掴んだみたいなので、この緩さは余計に残念だ。

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 マセラティのクーバンは、まあどう見てもイタルデザイン・コンセプトが基本ネタだ。けれども、サイドのキャラクターラインをはじめ、ホークアイなヘッドランプなど、単にいまどきのエッジを利かせたボディへ化粧直しをするのに、8年間は長すぎた。

 さらにボディ細部へクアトロポルテの香りを散りばめたりしているけれど、この表面上のアップデートは、残念ながら8年前の提案を越えていないんである。まだコンセプトとはいえ、そういうレベルで出てきてしまったのが惜しいところだ。

 もっとも、マラネロ製の新エンジンとか、クーバンを買うような層へのウリはべつにあるのかもしれないけど。

 アルファは4Cコンセプトを再登場させたけど、もう本格的にこっち方面に行くってことなんだろうか。

C

 8Cの評判に気をよくしたか、コンパクトハッチであるミトでこそ同方向でも破綻はしなかったけれど、5ドアのジュリエッタはひどく緩慢で、未消化な部分が多いのが気になったんである。

 ミト並のコンパクトさ故か、4Cもまた破綻しているとは思わないけれど、いささか演出過剰気味だ。で、問題なのは、その演出方向が明快じゃないというか”思いつき感”に溢れているところ。

 アルファはスポーティなメーカーだけど、スポーツカーメーカーじゃない。159の後継をはじめ、実用車の今後がよく見えないのが不安なんである。

 しかし、クライスラー顔になっちゃったランチア・イプシロンもそうだけど、最近のイタリア車、大丈夫なのかな?

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クルマ散策:フランクフルト・ショー雑感(ドイツ編)

Up

 ドイツの個人的な目玉はVWのup!。ポロもいいけど、さらなる合理化が興味深くて。

 気を抜くと単なるマイクロバスみたいになっちゃいそうなところを、たとえば立体感のあるバンパーや、ランプと一体感を持たせた大きなリアガラスで大胆なアクセントをつけるあたりが巧いなと。

 インテリアも手抜きをせず、しかしポロとはまったく方向性を変え、カラーパネルを最大限活用したやり方はコンパクトカーとしての模範解答だ。これを見ると、日本の軽自動車がいかに硬直しているかがよくわかる。

 このクルマはVW内の低燃費車としての役割が大きいわけだけど、GTやクロスタイプ、バギーなど、現実かつ魅力的な展開で、単なる”ガマン車”、あるいは貧相な”経済車”にしないところも巧いと思う。

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 up!は当初からイタルデザインが絡んでいたという話で、実際バリエーションの「Azzurra sailing team」がジウジアーロとの共作とされているけど、果たしてベースモデル自体は? 機会があれば聞いてみたいところかな。

 アウディの新しいA2も個人的な注目車。コンパクトカーとしてはA1のインパクトが大きかっただけに、この次は難しいなあと思っていたけど、いやいや巧いことまとめた。

 基本はA1の手法だとしても、今回はより明快なサイドラインがボディを引き締めているし(ショー用に誇張してはいるだろうけど)、偶然なのか、up!と同様の広いリアガラスが独自性と先進感を出している。え、これもイタル?なんて思わせるまとまりのよさだ。

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 そのup!がそうだったように、このA2もほぼこのままのカッコで出てきてほしい。使い勝手のいい5ドアボディに、ポロの1.2TSIなんか載った日にゃあ、ずいぶんと悩ましいクルマになりそう。

 一方で、メルセデスベンツBクラスはどうにもいけない。サンドイッチ構造だったAクラスが、より単純にスタイリッシュハッチへと舵を切ったのと同じ考えだけど、特段新しい提案がないシルエットにまずガッカリだし、そこに描き込んだ2本のキャラクターラインは悪夢のようだ。

 いや、エモーショナルだどかスピード感だとか、表現の意図は想像できる。それに、見ようによっては下のラインがルーフと相似形で、ぐるりとボディを1周しているんじゃないかとも思えるんだけど、まあ「だから何だ」って話だ。

 メルセデスは現行EやCで、かつての質実剛健なイメージと現代的スタイリングの、とても巧い融合を実現したなあと思っていたんだけど、それは早合点だったのかな。

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 Bクラス以上にエモーショナル路線まっしぐらなフォードのEVOSコンセプトは、今後の同社デザインの方向性を示しているそうだ。発展したキネティックデザインによる躍動感は、最近の欧州トレンドなのかもしれない。

 実際、このボディとたとえばマツダの魂動やインフィニティのエッセンスとの決定的な違いが僕には説明できない。あ、現代とかの韓国勢も同じ傾向だ。

 「EVOS、カッコいい!」という声は少なくないかもしれないけど、実のところこっち方向は勢い表面の小細工に走りがちで、独自性を出すのが却って難しいと思う。いや、その前に少々辟易気味と言ったほうが正直なところかな。

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新車心象風景:トヨタ・カムリ

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 新しいカムリ、「カッコいい」「燃費がいい」と、雑誌では結構な評判なんである。

 メインの北米など海外とは別に、セダン不況の日本でHV専用車とした気持ちは分かる。デミオやイースなど、いまや日本は気持ち悪いくらいの「低燃費」方向だ。その代表格であるHVを武器にしたいのが人情ってもんで。

 けれども、プリウスαのときにも書いたとおり、こうなって来るとHVと従来のエンジンとの差がよく分からない状況にはなってしまう。

 たとえば、サイズ的に肩を並べたクラウンにはHVとそれ以外のラインナップがあるけど、なぜかマークXにはHVがない。一方で、同じセダンでは他にもSAIという専用車があったりする。それらの意図が分からない。

 これってもしかして場当たり的? なんて思ったりする。プリウスシリーズは専用車の元祖として別格だし、他車でも後からHVを追加なんてことならまだ分かる。けれども、既存のセダンがいきなり専用車になったりすると、もうどうにもこうにも。

 冒頭のとおり、たしかにいまHVは大きな購入動機だけれど、じゃあ、それだけで売れればいいやってことなのか。自信があるというスタイリングや、念入りにまとめたインテリアなど、素のカムリの魅力は二の次ってこと?

 開発責任者は「豪華なHVを買うチャンスです」などと語っているそうだけど、FFによる広い室内を持ったこのカムリに興味を持ったとして、HVとそれ故の数十万円におよぶエクストラを払わなくてはならないという仕組みは、果たしてどんなもんなんだろう? 

 もちろん、これを「豪華なHV」なんて言っちゃうと、レクサスHSの立場はどうするのよ、っていうツッコミもあるけれど。

 ところで、雑誌でも「カッコいい」とされているそのスタイルだけど、これは端的に言って「盛り合わせ」だと思った。

 最近のトヨタ車そのものの、鋭角さを持った横長基調のライトとグリル。膨らませたホイールアーチとウェッジしたキャラクラーラインという、マツダ車風のボディサイドは現行クラウンと同じ。そして、空力を意識するかのように切り落とした四隅の処理は現行プリウス以降の手法だ。

 シャープで前傾姿勢を持ったエクステリアを「カッコいい」と言う気持ちは分かるけど、僕にはテーマのない寄せ集めにしか見えないし、だからいわゆる時間的な耐久性の低いスタイリングにも見える。

 まあ、テーマ性なんて言うと小難しいけれど、カムリというクルマの成り立ちを考えれば、なぜ「このサイズ」で、なぜ「このカッコ」なのかがよく分からないということなんである。

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雑誌ナナメ読み:緊急指令、編集長とメーカーの期待に応えよ!

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 最近クルマ雑誌を読んだ方なら、スカイアクティブ版デミオの、メディア対抗燃費競争の記事を目にしたんじゃないかと思う。

 メーカーであるマツダが各雑誌編集を招待し、東京~仙台間での省燃費競争を行うというものなんだけど、これが何ともおもしろくて。

 なんて書くとだいたい想像がつくかと思うんだけど、編集長から「トップを取って来い!」と言われたか否か、この盛夏に多くののメディア(とりわけB5判)が当然のようにエアコンオフで、かつ時速70~80キロなんていう「らしくない」低速運転で望んだらしいんである。

 まあ、御用記事ここに極まるって感じだ。真夏にエアコンを切り、しかも流れからおいて行かれる速度はどんなにか辛かったろうと思うけれど、そこまでやって叩き出した燃費自体に何の意味もないのは、実に悲しいというか残念じゃないか。

 だって、そんな数字はユーザーと無縁であるばかりか、逆に間違った印象すら与えてしまう代物だ。その特別な印象をマツダが期待してたとしても、メディアが一致協力してそれを叶える姿が何ともねえ。

 もちろん、どんなに汗ダクで頑張っても、無意味な数字による1番、2番には同じように意味がない。優勝したH誌はエアコンどころか、空気抵抗を考え内気循環にし、ラジオすら切っていたっていうから泣けてくるけれど。

 それにしても、そういう残念な競争の一部始終を、まんま活字にするその勇気はすごいと思う。しかも、ほとんど同じ記事が数誌で同時に掲載されているんだから、これは実におもしろいと言えるでしょ。

 そりゃあお前、メーカーがわざわざセッティングしてくれたイベントなんだから当然だろ、という意見もあるかと思う。けれども、実は”群を抜いて”成績の悪かったメディアが1誌あって、ここは当たり前のこととしてエアコンを使い、走りもほぼ通常とおりに行ったそうだ。その結果、2番手チームより常に1時間近く先行したっていうから驚きだ。

 こういうA誌のようなメディアがある以上、僕らユーザーが「仕方ないじゃん」なんて言葉を口にするのは止めるべきだと思う。甘い10.15モードで30キロのクルマが実走行ではどうなんだという、本来あるべき情報を与えてくれる状況は僕らが積極的にすくい上げなくちゃいけない。

 もし、すべてのメディアが同様に現実的な状況で競争に臨んだとしたら、そこでのわずかな数値の違いは意味を持った筈でしょ。だって、その違いそのものがいわゆる「エコラン」の現実的な技術なんだろうし、そもそもスカイアクティブ・デミオの大方の燃費性能がハッキリする。どれもユーザーにはありがたいことばかりだもの。

 けれども、実際には大半の雑誌がいちばん短絡的な思考に走って、まるで子供の運動会か修学旅行的なノリで汗ダクになるという冗談みたいな展開だ。

 ほら、最近制作費不足に悩むTV局が、コンビニやらファミレスとのあからさまなコラボ番組を連発しているけれど、言ってみれば、あの手の番組に芸人じゃなくて評論家がズラッと出演しているような異常さ、かな。

 こんな異常な条件でドライブしてもなお、10.15モードを達成したのはわずか1誌という事実を見れば、メディアとして突っ込むところはいっぱいあるのにね。

 そうそう、水分をガブ飲みし、涼感グッズを体に貼るような高温車内での運転って、それ自体がとても危険な行為でもあるよね。下手をすれば熱中症もあり得るし。それをメディアが自らやっちゃう問題もあるかな。

 ただでさえも出版不況なのに、こうやってますます雑誌としての独自性と情報能力を失ってゆく。いやあ、汗ダクになるのはもっと別の方向じゃないのかなあ、と思うんだけど。

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クルマ散策:長野1泊ツーリング

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 遅い夏休みを使って、長野は鹿教湯温泉に一泊ツーリングしてきました。

 地元国立ICから中央道で松本まで。途中休憩した諏訪湖SAで「スタバができてる!」と驚きつつ、2時間半強。

 松本市街では、地元でも有名という蕎麦店「浅田」でお昼を。十割蕎麦は意外に滑らかでよかったのですが、”つゆ”が同じくらい美味しいのが嬉しかった。あ、くどくない程度に濃いそば湯も。

 台風による雨の心配もあり早めにチェックインした「三水館」は、1万円台の宿ランキングで必ず上位に来る人気の宿です。到着すると駐車場には前泊のお客さんらしきアルファ147が。思わず真っ赤な2台コンビの写真を1枚。

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 ここは温泉こそ源泉温度が低く「イマイチ」の評価ですが、その分館内外の佇まいや料理の素晴らしさがランキング上位の理由。実際、和洋を巧みに出し分ける夕食は、斬新でもあり美味しかったです。

 落ち着いたロビーには旧いラックスとタンノイのオーディオセットが。お願いしてCD棚にあったオイゲン・キケロトリオを視聴させてもらうと、見た目を裏切る繊細な高音に驚き。これはオーナー氏の趣味で、30年前に手に入れてからずっと大切に使って来たそうです。

 まだ雨の降らない翌日は、家人の希望により安曇野の「いわさきちひろ美術館」へ。以前、仕事で来て以来の2回目ですが、展示内容も変えていて楽しめました。そうそう、いま安曇野近辺は朝ドラの「おひさま」一色な感じですね。

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 塩尻に移動し「井筒ワイン」ワイナリーへ。都内ではなかなか手に入らない種類もあり、数本を購入。諏訪湖SA併設の温泉へ入りつつ帰途へ。と、八ヶ岳あたりからいよいよ豪雨に襲われ、ほとんど前が見えない状態も何度か。今回の台風は大変な被害を出しましたが、やっぱり甘く見てはいけませんね。

 さて、長野ツーリングの走行距離は約650キロ。最近落ちてきている燃費は、エアコン全開なこともあり、リッター約13キロに止まりました。ほぼ高速と信号の少ない地方道だと考えると、やっぱりもう少し伸びて欲しいですね。ただ、豪雨の高速も燃費には不利だったかな。これで総走行は25万9千キロと、26万キロ目前です。

 来月は名古屋に出張があり、クルマで行こうと考えています。そこで高速燃費を再確認ですね

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クルマ散策:特別仕様車の特別度

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 今回は気楽な感じで、サクッと。

 フィットに10周年のアニバーサリー限定車が出たんである。これ、TVで宣伝までしているんだけど、結構残念な感じだ。

 いや、日本車の「特別仕様車」が基本的にかなり残念なのはいまに始まったことじゃない。え、これのどこが特別なの? とツッコミを入れたくなるようなものがほとんどなんである。

 このフィットもその流れ、というか、特別装備とされているLEDドアミラーや、スマートキー、ETC、ハーフシェイド・フロントウインドウなどは、実はエントリーグレードにもともと設定されているスマートパッケージとほぼ同じ追加装備なので、実際の専用品は黒いグリルとホイールキャップ、内装の一部パネルのメタリック塗装くらいなんである(専用ブラックインテリアもあるけど、ベース車は似たようなブラックとベージュが選択できるので、お得感は減少?)。

 まあ、これがストリームあたりならスルーするところなんだけど、なんたってあのカローラを登録台数ベストワンから引きずり下ろし、いまはプリウスと拮抗する超ド級の大ヒット車なんである。そんなクルマの10周年記念がほぼ既存グレードの流用なの?と。

 あ、いや、流用自体がどうのということじゃなく、いわゆる特別仕様車はことほど左様に残念な感じで、このフィット10周年記念車はその代表例という話だ。

 たとえば、仮に追加装備で特別だって言うなら、せめて専用ボディ色を追加するとか、ドアミラーを別色にするなんて差別化があってもいいし、オリジナルのアルミホイールくらい用意してもいい。インパネをオリジナル素材や色にするとか、シート生地も2、3種から選択できるなど、そういう特別感だ。

 そもそも、ベースがエントリーグレードっていう発想からして貧弱で、現行フィットならやっぱりHVがベースだろうし、価格面を考えるならメイングレードのガソリン車との2本立てでもいい。グレード差は安全・走行装備の差であることも忘れちゃいけない。

 それと、こういう追加装備方向じゃなくたって、たとえば先代キューブがコンランとやったような本格的なコラボ方向だってある。要は1台のクルマとして明快な特別感を持たせ、長い時間愛着を持ち得るような発想が欲しいんである。

 そんなことやったらお高くなっちゃうと言われそうだけど、今回のフィットほどじゃないにしろ、「それなり」の価格に抑えるのが特別仕様たる所以だろうし、中身がホントにスペシャルなら必ず一定数は売れる筈だ。

 まあ、今回もいつもの感じで、あまりあれこれ考えずにチャチャッとやっただけなんだと思う。フィットの10周年記念車でプリウスを喰うぞ。じゃあ、お得な既存パッケージを使ってパッと・・・みたいな。

 もちろん、そこそこの追加装備で販売台数を稼ぐという方法をすべて否定はしない。けれども、それとは違った文字通りの特別仕様車があるべきでしょう。このフィットなんか「10年分の感謝をあなたに・・・」なんてコピーを出しているくらいなんだし。

 こんなフィットならそこそこのお金を出しても絶対欲しい、という企画だ。

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