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新車心象風景:日産・ラフェスタ・ハイウェイスター

Lafesta

 なるほど、うまいこと考えるなあ、と感心しつつ、何だかなあとも思うんである。

 オリジナルは「ジョイ」として残し、人気のハイウェイスター版としてマツダ車を売る。一応、違うクルマ扱いとして、ここはカタチが違ってもOK。

 そのスタイルは、フロントバンパー周りを大きく修正し、例の波形サイドラインは消した。イメージを変えるため、比較的大きな手直しをしたこのやり方を、雑誌はもとより、経済系のTVニュースまでもが、「OEMとしては画期的」とかなりの高評価ぶりだ。

 けれども、巧妙な商品企画はともかく、ことブランドの話としては、もう相当な疑問なんである。

 現行プレマシーは、フルモデルチェンジながら、サイドウインドウを先代と流用する制限の多い”変更”だった。そこに大きな開口部を持つバンパーを与えてマツダフェイスを作り、例の波形ラインで近年のコンセプトも盛り込んだ。

Premacy_2

それがつまり、いまの「マツダらしさ」であり、デザインからのブランドアプローチとして、一定の成果を出していたとは思う。

 今回日産が施したのは、そのバンパーやボディサイドの”特徴”を取り払う作業で、張り出したフロントホイールアーチや横型に変更したリアランプを除けば、ほとんど先代プレマシー(写真3枚目)に戻したような内容だ。

 クセのなくなったフロントはメッキグリルでハイウェイスターを演出。ボディサイドは、もともと波形ラインと交錯していたキレイな1本ラインがあるので問題ない。このあたり、日産のデザイナーも「エルグランドっぽくできた」と結構満足なんて話も聞く。

 けれども、こんな風にバンパーとサイドラインをどうこうで「マツダらしい」とか「日産っぽい」なんてことなら、一体クルマのデザインって何なんだ?って話だ。

 いや、勘違いしないでほしいのは、その「お手軽」加減がいけないということじゃなく、デザインという行為自体の意味すら危ういという話だ。

Old_premacy

 だって、「流」だ「靭」だと社運を掛けたようなコンセプトカーを連発したり、デザイン担当を常務に迎えてデザイン本を出したりしている一方で、所詮クルマなんかバンパーとグリルを変えちゃえば、まあ大抵はごまかせる代物なんだよと言ってるわけでしょ。それって、自動車デザインの地位向上を謳う自分たちの首を絞めるようなやり方じゃないか。

 もし、そこに「効率」という言葉を持って来たいのであれば、最初から自動車デザインが奥深いものなどと口にするべきじゃない。ハッキリ「金儲け」のための、単なるあざとい手段だと告白すればいい。

 これは以前も書いたけれど、僕はOEM自体には異論がなくて、ただ、それはいろいろな意味で影響の少ない次元で抑えるべきだとは思っている。その点、軽自動車はその範囲内だと認識しているけれど、こうした大きなミニバンなんかは、自分の感覚ではもともとOUTだ。

 さらに、デザインを結果的に軽視するような企画であればなおのことイケナイ。先代のプレマシーと現行プレマシー。そしてラフェスタ。この3台がべつのクルマとして存在するなんて何てバカげていることか。

 だから、TVが「これは注目すべき商品」とコメントしたり、雑誌が「こんなに違う両車」などと書くほど、ますます違和感を感じてしまうんである。

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コメント

純粋に今回のラフェスタ・ハイウェイスターはカッコイイと思います。
プレマシーの「ドギツイ」顔が嫌な人には惹かれるものがあるでしょうね。

だけどこうして3車を並べてみた時、すぎもとさんが仰るように、デザインの意味ってなんだ?と感じざるを得ません。
ミニバンって立派なファミリーカーなわけですから、よけいに微妙な気持ちになりますね。

投稿: アレスタ | 2011年6月23日 (木) 20時58分

書いていることにはなっとくですが

バブル期以前の4年ごとのモデルチェンジだった時代に
車名は同じなので形がごろっと別物のようにデザインが変わってしまうよりいいと思う。

車は同じ車種でもセッティングで足回りがかわったり、エンジンが変わるだけで見た目は同じでも
全然乗り味が変わってくる

見た目と中身とどうとらえるかだと思う

投稿: ^^ | 2011年6月24日 (金) 14時56分

最近の日産は、とにかく戦略がしたたかになりましたね。OEMビジネスでこんなにうまくいっている自動車メーカーもないですね。こと販売面に関しては…それ以上はとくにありません。

やっぱりマツダは、もう少し今のデザインやブランドを、スポーツ一辺倒で押し切るだけではなく、もうひとつ違う路線を作り出さないと駄目なんじゃないかな?コンパクトカーだって、デミオだけじゃ小さくてスポーティー過ぎて、いくらスカイアクティブを持ってきてもフィットやヴィッツに持ってかれるんなら、ベリーザのような高級路線かユーティリーティ―重視のクルマを出したっていいと思う。
デミオの次がアクセラでは取りこぼしが多いと思いますね。
マツダは日産のしたたかさを、安易なOEMではなく、商品力、デザインといった面で学んで活かして欲しいものです。
いまのままでは、スカイアクティブを展開しても、それほど望めそうにないとボクは思います。

投稿: アクシオム | 2011年6月24日 (金) 16時17分

アレスタさん

豊かなフロントフェンダーと、素直なキャラクターラインが、ある意味オリジナル
よりハッキリ出ているんですよね。メッキのグリルはともかく、そういう意味では
受け入れやすいスタイルですね。

?さん

そうですね。ですからプレマシーとしてはよかったと思いますよ、このモデルチェ
ンジは。ただ、それを他社が使い回すのは別の話ですけど・・・。

アクシオムさん

デミオの次がアクセラっていうのは僕も厳しいなと思います。まあ、マツダはそれ
だけ国内販売を見切っているんでしょうけど。スポーティ路線も、新しいアクセラで
は、市場の6%が理解してくれればいい、なんて言ってましたしね。
スカイアクティブを日本で展開するには、仰るようにベリーサクラスは必須ですね。
かつてはレビューなんてありましたけど・・・。

投稿: すぎもとたかよし | 2011年6月24日 (金) 18時20分

デザインとか言うレベルの話ではなく、単純にクルマが、「ざるそば」か、「盛りそば」か、って言うレベルまで購入者を見切った感じがします。

おかげで、日産は財務状況は良いようですが、それは、お客様には関係のない話。 正直、完璧に日本市場はメーカーに捨てられた感じ。それでも製品の質がいいのかといえば、コレは、これで日本仕様は手抜きのオンパレード。

だって、現行プリウスがバカ売れする国ですから、なめられても仕方ないですが、仕方が無いって言葉で逃げてはイカンですね!クルマ好きは! やっぱり諦めず、いい物はイイ、ダメな物はダメって主張しないと!

放射能がダダ漏れしても「仕方が無い」で逃げようとするような卑怯なことは、好きな物だからこそ言いたくないですね。
ハイウェイスター(ネーミングもいい加減何とかして欲しいcrying)は、デザインを語っては負けな気がするので、あえて、何も言いません。

投稿: ぷじお | 2011年6月24日 (金) 21時40分

今度のラフェスタ・ハイウエイスターのシンボルカラーは黒?
行きつけの日産の店にどーんと置いてありました。DMは来なかったけど。
まあ何をどう売ろうと自由だから、買わない私ごときも何も言う気になれません。
でもセールスの人が寄ってきたら、いろいろ聞いてみよう。
スカイアクティブには期待している。省エネ&高性能。本来はホンダあたりの仕事でなければならないはず、なのだが。まあいいか。
安く(開発費ゼロ、改装費少々で)「タマ」を仕入れられる日産。工場の生産効率を上げられるマツダ。平たく言えばウイン-ウインの関係? こうやって「持ちつ持たれつ」していくのだね。

投稿: 優 路 | 2011年6月27日 (月) 07時10分

ぷじおさん

まあ、企画としてはうまいですよ。日本市場向けの妙なミニバンには
お金を使いたくないと思えば、最小限の力で最大の効果ってことで。
あとは、ユーザーがこれをどう評価するか。売れ行きを見守ってみた
いですね。

優路さん

黒は・・・たぶんエルグランドとの関係性をアピールしたいのでは?と
思います。仲間ですよって。
ウインウインはメーカー側の都合ですが、これでユーザーもウインなら、
まあ、日本市場はそんなもん、ということですね。

投稿: すぎもとたかよし | 2011年7月 8日 (金) 09時58分

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